この度、西日本で発生した豪雨災害でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまにお悔やみを申し上げます。また、被災された皆さまに謹んでお見舞いを申し上げます。
では、コラム本文に入ります。
梅雨が明けて夏本番。夏と言えば、花火ですよね。花火大会は毎年、歩くのも大変なくらい物すごい数の見物客でにぎわいますね。近年は約60万人もの来場者があるという世田谷区と川崎市の多摩川河川敷で行われる花火大会は、今年から10月13日(土)に変わったそうです。
第40回世田谷区たまがわ花火大会 ~彩~未来につながる親和の夜空
http://www.tamagawa-hanabi.com/
第77回川崎市制記念多摩川花火大会
http://www.k-kankou.jp/fireworks/
昨年は、開催時間に大雨だけでなく落雷もあり、怪我人も出ていると聞いています。まずは、お怪我をされた方のご回復を祈るばかりです。
昨年はそのような悪天候により中止になりました。大会の中止はかなりの損金が発生するのではないかと思いますが、私は結果的に正しい判断だったと思います。強行実施して、落雷や群衆雪崩などで死者が出てしまったら一大事。その後に待っているのは「裁判沙汰」です。
今回のコラムでは、花火大会などに関連がある群衆事故の裁判について、ご紹介します。
まず「群衆事故」と聞いて私が思い出すのは、明石花火大会歩道橋事故です。2001年(平成13年)7月21日に発生し、死者が11人、重軽傷者247人を出しました。兵庫県警察の警備体制の不備や事故後の対応が問題として挙げられ、マスコミでも大きく報じられたことを記憶しています。
民事事件としては9遺族が明石市・兵庫県警察(明石警察署)・ニシカン(警備会社)を相手に民事訴訟を起こし、2005年6月28日、神戸地方裁判所は3者に計約5億6,800万円の損害賠償を命じました。原告・被告ともに控訴せず、確定判決となっています。つまり、法的な賠償責任があるとの判決になりました
刑事事件としては、兵庫県警察の警察官1名、ニシカン1名に禁錮2年6月の実刑、市3名に禁錮2年6月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。
ほかに、落雷と聞いて思い出すのは、高校生のサッカー大会で所属する生徒が校外の会場で試合中に落雷事故に遭い、一命をとりとめたものの重度の障害が残り、引率教諭の注意義務違反等を根拠に損害賠償請求を行った事案があります。民事事件としては最高裁判所は引率教諭の予見可能性や注意義務違反を肯定した判決となりました。反対に、コンサート会場へ向かう途中の落雷事故について損害賠償請求等を棄却した遺族敗訴の事案もあります。
判断は事案によって異なるでしょうし、かなり微妙な難しい判断を伴います。
花火大会は多くの人が一カ所に集中するため、さまざまな危険が伴う可能性があります。だから参加すべきではないということにはなりませんが、普段から市民自身も、主催者や行政と一緒になり危機管理対策を勉強し、目を配っていく必要があろうかと思います。
今年度の花火大会は、悪天候とそのことによる事故を避けるために8月から10月へと変更されました。事前に憂いを減らし、「秋の風物詩」を楽しみたいですね。
【参考資料】
長尾英彦「落雷事故と損害賠償責任 -学校の課外活動中の事故を中心に-」中京法学42巻1・2号
https://www.chukyo-u.ac.jp/educate/law/academic/hougaku/data/42/1=2/nagao.pdf
大阪落雷死訴訟「大阪高裁も両親敗訴」(毎日新聞 2016/11/10記事より)
https://mainichi.jp/articles/20161111/k00/00m/040/114000c
コンサートへ向かう途中の落雷事故(ENDIA, 2018/2/23コンテンツより)
https://endia.net/rakurai-jiko-exile
【コラム:ココロを扱うお仕事です】♯13 ゾーン30-⑥まとめ
http://futakoloco.com/column/otaki/5960/
- 名称
- 所在地