二子玉川エリアに暮らし、地域の学校に通う子どもたちと登山を続けてきたライター・棚澤明子さんが7月3日、約10年間にわたる親子登山の記録をまとめたエッセイ『生きる力を見つけた親子登山』を出版しました。
子どもが5歳と8歳のころに始まった登山は、高尾山から剱岳まで──大自然の中で過ごした時間が、親子それぞれの成長にどう影響したのか。著者自身の視点から綴られた記録です。

著者のあゆみ
棚澤さんは、近隣の幼稚園や区立の小中学校に通う子どもたちを育てながら、フリーライターとしても活動してきました。
電車好きの親子向けガイドブック『子鉄&ママ鉄』シリーズ(2009~2016)、福島第一原発事故後のお母さんたちの声を綴った『福島のお母さん』シリーズ(2016・2019)、教育学者との共著『いま、子育てどうする?』(2021)など、社会課題を軸に多くのインタビューや取材記事を執筆しています。
書籍の内容
本書では、2012年から続けてきた親子山行から12の登山記録を厳選。自然と向き合うなかで母としての戸惑いや学びを真っ直ぐに綴ったエッセイのほか、『日帰り親子登山グッズ』『登山のための栄養マメ知識』『山岳ガイドへのインタビュー』など、イラストや地図付きのコラムも収録されています。
登山未経験の読者にも、親子で自然に踏み出すきっかけになるよう、知識と実感の両面から構成されています。
発刊の背景
きっかけは、雑誌アプリでの連載。「自然とは縁遠かった」著者がふとした思いつきで始めた登山は、やがて親子の日常の一部となり、10年を超える活動に育っていきます。その中で著者は「子どもの野性の力を信じること」「正解らしきものを先回りして示さないこと」の大切さに気づいていきました。
山のなかで過ごす時間を通して、「ときには思考を手放す必要があること」や「育ちとは親子の関係性さえあれば違うかたちで進んでいくもの」という実感を得た、といいます。都市での子育てにおいて、日々の選択に迷いがちななかで、小さな「風穴」を開けてくれるような一冊になることを願って出版に至りました。


成人した子どもたちのまなざし
本書では、21歳と18歳に成長した子どもたちからのメッセージも掲載されています。
自然とは、どこまでも解釈が広がる世界であり、飽きることがなく、自分の想像力を育ててくれる存在だという気づき。また、山での判断や行動を通じて「自分で選んだ道を、自分で正解にしていく」姿勢が培われたこと。
自然の前で自分の無力さや愚かさを感じることで、主体的に生きることへの自覚が芽生えたこと。今後は「多様な人々が集まり、対話し、自分を見つめなおす場所」としての『新しい山小屋』をつくりたいという展望も語られています。
登山という営みが、外側の風景だけでなく、自分自身の内側へと向かう視点を育ててくれた──そんな確かな手応えが読み取れます。

書籍情報
書名:生きる力を見つけた親子登山
著者:棚澤明子
発行:彩流社(2025年7月)
判型・ページ数:A5/全188ページ
価格:2,200円(税込)
ISBN:9784779130526
Instagram:@oyakotozan

発刊記念イベント開催
発刊を記念して、BOOKトークライブが開催されます。
日時:2025年8月9日(土)15:00-16:30
場所:「100人の本屋さん」(世田谷線・松陰神社前)
主催:一般社団法人 イヴの木
聞き手:鈴木景子(イヴの木代表)
参加費:700円
問合せ:evenoki@evenoki.org
「できるかぎり参加者と語り合いながら進めるトークイベントにしたい」と棚澤さん。申し込みはこちらのフォームから。https://forms.gle/AWLSZj71Ei7nWbXy6
