【レポート】二子玉川 水辺茶会 in 兵庫島、無事開催…その先へ!

「二子玉川花みず木フェスティバルは雨が降らない」というジンクスは、35回目となる今年もしっかりと守られ無事、晴天下で行われました。

 街の伝統行事となりつつある同イベントですが、今年は新たなチャレンジがいくつかありました。その一つは、二子玉川の兵庫島公園内にある丘上(兵庫島天頂)という公共空間の活用として提案された「水辺茶会」。二子玉川のまちづくり団体二子玉川エリアマネジメンツとアバンギャルド茶会(主宰:近藤俊太郎)が共催しました。

 そもそものきっかけは昨年夏。約450年前の1587年11月1日に時の権力者・豊臣秀吉が京都・北野天満宮境内に1000人以上を集めて催した野点(野外)「北野大茶会」。そのコンセプトを継承した現代版・世田谷版茶会を行いたいとの企画相談がアバンギャルド茶会の近藤さんから二子玉川エリアマネジメンツへ持ち込まれたのです。

 そのコンセプトは、誰でも楽しく、自分好みのスタイルの茶席を見つけて多くの人が集まって「お茶を楽しむこと」。多摩川の広々とした水辺空間を有す二子玉川はまさしくそんな場にぴったりではないか・・・と近藤さんと担当者(私)は熱く語り合ったのでした。

 そうは言っても多摩川の水辺は公共空間であり、同公園は世田谷区が占有主体。その催しが住民や利用者の活動や憩いの場としての妨げになってはいけないのです。いかにして地域や利用者にとっても有益な空間・時間として設計できるか・・・一方で、イベント運営として最低限の運用資金が必要だが営利的すぎてはいけない・・・このバランスを成立させることは、いつだってそうそう簡単なことではありません。

 一時は、公共空間での実施を諦めるかという決断も視野に入れた時、力になってくださったのは世田谷区職員の皆さんでした。また、いきなり大々的にやるのは大変なので実験的に春にやってみましょう、というありがたい提案と機会をくださったのが二子玉川花みず木フェスティバル実行委員会でした。

 当初の「二子玉川水辺大茶会」の構想では、同公園内の芝生広場を広く使う想定でしたが、花みず木フェスティバルの季節柄、これまでほとんど活用されておらず、人気も少なく薄暗いイメージがあった「兵庫島」の天頂部分で実施するアイデアが出ました。実際に実地検分してみますと、とにかく見晴らしがよく多摩川を一望でき、新緑がまぶしく東屋の藤棚や小道のシャガなどが咲くころということで、確定しました。後で知ったことですが、同所は大正から昭和の初期、芸妓さんなどが集うお茶屋さんが設けられにぎわっていた場所だったのですから、縁を感じますね。

 その後、同所にインスパイアされた近藤さんが出された新たなコンセプトが「茶ンピング」=「茶会」+「キャンプ」。さまざまな関係者への協力・協賛募集の活動の結果、伊藤園、ヴィレッジインク、アウトドアメディア「hinata」の3社が名乗りをあげてくだり、イベントとして形が見えてきて、無事、開催アナウンスにこぎ着けたのが4月。

 その告知から、世田谷区の宇奈根で明治時代から営む「海老沢畳店」との地域コラボレーションが生まれました。日本文化と言えば畳!ということで、ご提供いただいた畳を芝生の上に並べて野点茶会スペースに。当日の晴天と緑の空間の気持ちよさから、多くの方がこのスペースでのお茶を楽しみました。

 当日設営された2つのテントでは「宇宙茶会」や立礼式の茶席が行われました。茶席をテントの外で待つ間も、日光浴と森林浴でゆったり寛がれている方々の表情が印象的でした。また、テントは茶室の空間と似ており、特に入口は茶室の「躙(にじ)り口」を想起させます。立場の上下を越えて、同じ天井の下で、等しく一杯のお茶に頭を下げる時間。

 開始直後には世田谷区の保坂展人区長もお立ち寄りくださり、「宣伝が足りないね」とのお言葉。また、玉川町会や二子玉川エリアマネジメンツの理事各位も一服。「いい空間だ」と仰っていただけて、近藤さんも担当者も少し?ほっとしたのでした。

 この「二子玉川水辺茶会」、本番は秋を見据えています。今回のトライアルを終えた近藤さんは、アバンギャルド茶会のサイトで下記のようにレポートしています:

 “初めてのことも多く、「ちゃんと運営できるかな?」「みんな、遊びに来てくれるかな?」と心配しながらのスタートですが、始まればみんなで楽しみながら一日を過ごすことができました。次回への課題も見えてきました。今秋には、「二子玉川大茶会」と呼べるくらい大々的にやりたいですね!なんといっても二子玉川周辺には茶室もたくさんありますし、環境もばっちり!さあ、秋に向けて次の企画を考え始めなくちゃ!(まだまだこれくらいでは終わりません。笑)”

 連休が明けたらすぐにでも、反省会と次回への企画ミーティング。次回以降は二子玉川でお茶をたしなまれている方々と連携し、「お茶を楽しむ」機会を作り文化として発信し大切に育てていきたい、とのこと。

 この企画にご関心を持たれた方、協力・協賛してくださる方がいらっしゃいましたらぜひ二子玉川エリアマネジメンツあるいはアバンギャルド茶会へお問い合わせください。

 futakolocoでは次回企画もいち早くアナウンスいたします。どうぞお楽しみに!

なんともかわいらしいお客さま。茶会イベントを知って、着物でご来場くださいました。

二子玉川エリアマネジメンツ

https://www.facebook.com/Futako.Management/

名称
二子玉川 兵庫島公園
所在地
世田谷区玉川3

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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