5月より、2018年度「二子玉川×大学の地域連携」活動が始動しました。
今回は、3月に2017年度中間報告会にて発表くださった保井美樹ゼミナール(法政大学現代福祉学部・人間社会研究科)学生さんらが、その後深められた研究発表を取材しました。
「街情報プロジェクト」と彼らが据えた研究目的は、年代や性別、障害の有無を問わず上質な空間や時間を提供することができる河川敷の在り方の検討です。
注目は,彼らの調査データの分析をさらに深め、研究目的を実現するための具体策、プランデザインの提案にまで至った点です。結果、テーマも「バリアフリー河川敷に向けて」から「河川敷のインクルーシブデザイン」と変更へ。
今後、街は、行政は、彼らとどのように向き合い、連携していくのでしょう。目が離せませんね!
開催内容
■テーマ:河川敷のインクルーシブデザイン活動内容
・バリアフリー班の調査報告
・ボード調査班の調査報告
・ヒアリング班の調査報告
・プラン説明
・地域、行政の方とのディスカッション
■日時:2018年6月15日(金)18:00~20:00
■場所:二子玉川庁舎集会室
■主催:二子玉川100年懇話会 街情報プロジェクト
◆「バリアフリー班の報告」は、中間報告会の進化系!
バリアフリー班は中間報告会からバージョンアップしたスライドを作成してバリア分析を示してくれました。
・駅はバリアフリーが充実している
→ 駅を離れるとバリアが多くある
・兵庫島公園内の様子から、「スロープ=便利」ではない
→ 大事なのは、スロープの傾斜の角度や幅
・兵庫島公園は、道が狭かったり、曲線の道が多い
→ 車いすの方、視覚障害者はアクセスしづらい
→ 介助者や介助犬がいればアクセスはできる
・兵庫島公園は、遊具がないが、自然のバリアがある
→ 子供たちにとっては、運動能力向上面でいい遊び場
→ 遊具があれば子供がもっと遊びに来るだろう
↓ ↓ ↓
◆「ボード調査班の報告」は、中間報告の助言を反映!
「二子玉川河川敷の利用状況や現状の把握」と「利用者の視点から見た二子玉川の河川敷の現状と課題の把握」を目的に、二子玉川の河川敷班と商店街班の2チームに分かれて、歩いている人に声をかけて回答を依頼するという調査を4回実施したとのこと。その内第3回、4回調査では、中間報告会でいただいた助言を反映して、年代、地元・地元外に分類できるようシールの色を変えて実施したそうです。
彼らは、調査にもとづき河川敷の「魅力」と「要望」を3つに分類しています。
- 自由に過ごせる場所の充実 ←トイレなどを含めた全体のバリアフリー化
- 自然が感じられるとしては、←できるだけ自然をそのまま保持してほしいという意見(地元内外両方)
- 子育てに適した場所の充実 ←地域密着型のイベント増やす
◆「ヒアリング調査班の報告」から、見えてきたのは……
彼らがまとめた分析結果から、児童、高齢者、障害者のどの分野においても必要とされているものとして、河川敷へ向かうための交通量の少ない安全なルートと、河川敷で一休みできる場所が挙がりました。
対して、保育園では、子供たちの身体能力の向上や、危険を知るという目的から「ある程度のバリアが必要」という条件が示されたのです。
ここで、児童分野で必要な「ある程度のバリア」と、高齢者分野で必要な「完全なバリアフリー」をどのように共存させていくかという問題が浮上!!
◆インクルーシブデザイン実現に向けたプレゼンテーション「プラン内容」
ここで、障害のある人も、高齢者も、誰もが河川敷に行きやすくなるには、街にどんなデザインが必要だろうかと、彼らはそれぞれの立場を想像し、自分ごとにしてさまざまなアイデアや仕組みを提案してくれましたよ!
いよいよ二子玉川の街と行政の皆さんとのディスカッションです(^^♪
◆ご参加のみなさま
※左から、敬称略
【大学側】
*保井美樹(法政大学現代福祉学部・人間社会研究科教授)
*沼田啓佑(以下、保井ゼミナール所属 3年生)
*藤原雄大
*小山秀斗
*今西陽飛
*清水真奈美
【地域側】
*佐藤正一(二子玉川100年懇話会 街情報プロジェクトリーダー)
*川村健一郎(玉川総合支所地域振興課用賀まちづくりセンター所長事務取扱 副参事)
*本田慶太(玉川総合支所地域振興課地域振興・防災担当)
*綿引宙伸(国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所 調査課専門官)
*堺恭一(玉川総合支所街づくり課街づくり課長補佐)
*齋藤勝(玉川総合支所街づくり課街づくり技術専門官)
◆焦点は、やっぱりインクルーシブでデザインすることの難しさ……
地域、行政側の皆さんは、熱心に学生さんらの発表に聞き入っていました。
そして、行政の方たちは、常日ごろから「バリアフリー化」への要望と「バリア(自然)を残してほしい」という要望のせめぎ合いの中で仕事をされているとのこと。そのために、丁寧にさまざまな立場の人たちへのヒアリングや対話を続けているのだと、そのご苦労も述べられました。
その上で、さらに確認するように「自然を残しながら、バリアフリーをつくっていくには、どんな具体策が考えられるでしょう?」と、熱意をもって問いかけられているのがとても印象的でした。
☆取材を終えて☆
インクルーシブな社会が実現することを取材者である私自身も望んでいます。
そして、それが二子玉川の河川敷から発信、実現していったら、futakoloco.の記者として、また地域住民として、これほど誇りに思えることはないでしょう。
2017年度より始動した大学と二子玉川地域連携は、保井研究室の他に、東京都市大学(西山研究室)、産業能率大学(水島研究室)も活動中です。西山研究室、水島研究室では新学年の学生さんらが、昨年度の先輩の成果を引き継ぎ、すでに活動をはじめています。
バリアマップ作成の研究は、東京都市大学(西山敏樹研究室)でも実施されているので、大学同士の連携への発展も期待できるかもしれませんね(^^♪
これからも、大学と二子玉川地域連携の活動を見守り、応援していきたいと強く思わせてもらった発表会でした💛
法政大学×二子玉川「バリアフリー河川敷に向けて」 保井ゼミナールによる中間報告会!
http://futakoloco.com/column/muta/5521/
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