10月31日(金)・11月1日(土)の2日間にわたり、たまよんガーデン・コミュニティで開催されたドキュメンタリー上映会に、子どもを含む延べ30名以上が来場しました。

上映されたのは、江戸時代から400年以上続く世田谷の専業農家を追った『大平農園405年目つなぐ』。前作『大平農園401年目の四季』から4年後を舞台に、後継ぎ不在のまま高齢となった当主・美和子さん、引退を決めた畑リーダー波多野さん、そしてコロナ禍や異常気象など幾重もの課題に直面する農園の姿が描かれます。倒木の危険が指摘された大ケヤキの伐採決断など、存続の危機に揺れる様子が緊張感とともに伝わってきました。
映画『大平農園405年目つなぐ』
2021年/77分監督:森信潤子
映画の舞台は、二子玉川からもほど近い等々力にある大平農園。昭和40年代に無農薬・無化学肥料に切り替え、有機農業のパイオニアと呼ばれています。周辺住人が農家をサポートする方式は「地域支援型農業」「コミュニティで支える農業」などと呼ばれ、今では世界各国で取り入れられていますが、農林水産省の資料によると、世界で初めてこの取り組みを導入したのは大平農園だそう。本作は、そんな“奇跡の農園”を追ったドキュメンタリーです。
映画のDVD•Blu-rayは販売中
「大平農園401年目の四季」2,500円
「大平農園405年目つなぐ」3,500円
baku.docume@gmail.comまで
上映後の会場はシーンと静まりかえっていました。その後、ドキュメンタリーにも登場した現・畑リーダーの矢野さんが登壇。元IT企業のプロジェクトマネージャーらしく、パワーポイントを用いて農園の仕組みや都市農業の価値をわかりやすく紹介しました。深刻な内容とは対照的に、明るくユーモアを交えた語り口で会場を和ませてくださいました。

矢野さんが語ったのは「自分は野菜を作りたいというより、住んでいる場所の近くで、無農薬の野菜を作りながら、多くの人と関われる場を作りたい」という思い。都市農業には、雑草の種の飛散、畑の脇がタクシーの休憩場所として使われがちなことで起こる吸殻の放置、行き場所をなくした野生動物の集結など、近隣住民に歓迎されない要素もありますが、輸送時間が短いからこそ味わえるフレッシュな野菜の本当の美味しさ、広い空と星空、地域のつながりが生まれる場であることなど、手放しがたい魅力があると言います。都会の子どもにとって貴重な土と触れ合える場となり、大人にとっては「草取りセラピー」と呼べるほどの癒しにもなるのだとか。

2025年11月1日現在、援農ボランティアは33名。曜日固定で作業し、ランチは農園が提供とのこと。「無理しない・頑張りすぎない・お喋りする」を鉄則に、楽しむことを第一にしてほしいと語る姿が印象的でした。

ドキュメンタリーでは、てんとう虫やカエル、鳥たちが生き生きと動く豊かな生態系が映し出され、画面の端に映る子どもたちの姿が未来への希望を象徴していました。彼らが大人になる頃、この農園はどのように受け継がれているのか——大平農園の歩みは、今まさに“つなぐ”という言葉の重みを私たちに問いかけています。

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- 名称
- たまよんガーデン・コミュニティ(上映会場)
- 所在地
- 東京都世田谷区玉川4-38-2






