どうぞのごはん♯34 せたがや野菜生姜醤油和え〜川と森と人とまち~

毎日、「今日って晴れ?降る?」という天気が続いていますね。そんな中、6月に私の所属するNPO法人せたがや水辺デザインネットワークで、「国分寺崖線の生きもの観察会」というのを開催しました。

毎回、集合場所の「多摩川生きもの水族館」前での出発までの待ち時間はミキの紙芝居が。

 毎年、二子玉川ライズさんのご協力で、二子玉川ライズのルーフガーデンにある「めだかの池」を出発し、みんなで駅前をつっきって兵庫島方面へ歩き、野川にはいっての生きもの観察をしたり、兵庫島のあたりで草地をガサガサして虫を探したりといったことをやってきたのですが、今年は、水辺と草地だけでなく、森と畑にも出かけてみよう!ということをやってみることになりました。年間のテーマは、「川と森とまちの自然観察会」。

2018年6月17日のめだかの池自然観察会は水辺ガサガサでした。今年は、6月は森、8月に水辺のガサガサを予定しています。
2018年9月23日に実施しためだかの池自然観察会は草地ガサガサ。兵庫島周辺で虫さがしをしました。今年も9月に実施予定。

ポンちゃんの制作したチラシを地元の小学校に配布、お申込日にの夕方には、定員がいっぱいになり、毎日クルクルと変わる空模様をみながら、開催できるかなあ、と、当日までお空とにらめっこしていました。

 梅雨のころは特に、野外のイベントは、雨で中止ということもよくあります。川の様子や、森の様子も気温や、湿度で変わってしまい、出会える生きものも違います。今回は開催できたのですが、その前の週のコミュニティクラブたまがわで開催している「せたがや探検隊」は中止になってしまい、中止を聞いて泣いてしまったお子さんがいたと聞きました。ほんとうに楽しみにしてくれていたのでしょうね。

 とっても残念だけど、仕方ない。私はこういう外での活動をずっと続けてくる中で、子どもにとっては(もしかしたら大人も?)、そういった予定したことが中止になってしまう、という経験がなにかしらあったほうがいいのではないかな、と思うようになりました。

6月は残念ながら中止になった「せたがや探検隊」5月のまち探検のひとこま。

この世界には、思い通りにならないことがたくさんあります。未曾有の豪雨や地震といったことさえも起きます。けれど、そういった大きな想定外の出来事の前に、小さな「思い通りにならなかったことの繰り返し」の経験があることは大事かな、と。

まち歩きツアーでは、川原に行くこともあります。石をみるだけでもほんとうにおもしろい。(5月のせたがや探検隊)

 今の社会では、失敗しないように、残念な思いをしないように、周到に計画され、準備された範囲の中で何かを体験することが多いような気がします。成功してよかったね、ということもとても大切な体験ですが、失敗を繰り返してでもなんとかする、という経験の積み重ねは、いざというときに自分で考える、感情をコントロールする、解決する、ということにとても役だつように思います。

 また、日本の一般的な社会では時間に正確である、予定通りに進む、ということが重要視されることが多く、「遅刻」に対しても厳しい対応がされることが多いような(遅刻をよくする私には辛い)。でも、パンクチュアルを重んじるあまりに、電車の事故がおこったりということもありましたし、駅へむかう自転車が危険なほどスピードを出していたりするのも、いけないことなのだけど、もしかしたら、ある電車に乗り遅れて遅刻をしたら、クビになるかも、といった、その人にとっての一大事がかかっているのかもしれない、と思ったりします。

 もし、社会がもっと優しく、許してあげることができたら、そんなに急いだりしなくてもいいんじゃないかって。私は、「時間を正確に」「予定通りにことを進める」ことを重要視するあまりに、ほんとうに大切なことを踏み外さないようにしたいなあ、と、気を付けるようにしています。

 そんなことを考えると、社会がもっと優しく、寛容になるためにも、予定通りには進まない、何が起こるかわからない自然を体験するという遊びは、たとえ何らかの原因で中止になった時でも、いい経験になるのではないかなあと思います。今日はだめだったけど、次を楽しみにする、という気持ちもとても大切だと思うし。

二子玉川ライズ4階ルーフガーデンから、原っぱひろばへ。

 さてその、国分寺崖線を歩くツアー、二子玉川ライズの屋上庭園が、この地域に昔からある国分寺崖線に沿って、その崖線の生きものたちのパスウェイ~通り道~になっているんだよ、という話から始まりました。いつ降るか、いつ降るか、といったお天気でしたので、プログラムを変更して、虫採りをする瀬田四丁目旧小坂緑地に行く前に、みんなの畑・かわべ農園に、野菜の収穫をしに行くことになりました。

まちなかにこんなものが!!

たくさんの大人、子ども、が畑にきました。いつものようにかわべのお父さんに教わってからお芋を掘ります。ジャガイモの茎をひっぱると、お芋がゴロゴロでてきます。土を掘ると、まだまだ大きなお芋がたくさん土の中に。

お父さんがジャガイモの掘り方を実際にやってみせてくれます。

苗は両手でひっぱったほうが、力が入るよ、スコップで掘るとお芋を傷つけちゃうから、手で掘ってあげて。子どもたちといっしょに夢中になってお芋を掘りました。

最初は、「え、きたない!」と言って土に手を入れていなかった子も、まわりでどんどんジャガイモが掘れていくと、だんだんと土に手を入れて、お芋を掘るようになりました。

土は、汚くないよ。土はきれいだよ。

ナス、きゅうり、トマトなど夏野菜も少しづつ収穫しました。

大きなジャガイモを持って「これでポテトチップスどれくらいできるかなあ」とニコニコしている子もいました。もっともっと掘っていい?とたくさん掘る子もいたし、虫をみつけて観察している子もいました。ジャガイモ掘りより、井戸の水くみに夢中の子もいました。

 子どもたちといっしょに土にまみれるのが楽しすぎて、一緒にきているおとうさんやおかあさんに声をかけるのを忘れてしまいました。ごめんなさい。大人の人にも掘ってもらえばよかったかなあ。

たくさんのおとな、こどもが畑に。

 講師の中西さんが、畑の役割について、というのをお話ししました。住宅地の中の畑も、二子玉川ライズの屋上のように、生きものの通り道、すみかになっている、ということ。

 畑はみんなの食べるものを生み出します。そこでみんなが食べるものを育てている人がいます。種をまき、苗をそだて、水をやり、肥料を加え、雨の日も晴れの日も土にまみれて育てている「誰か」。今日もそんな「誰か」のおかげで、おいしい野菜が食べられるんだなあ~

 畑に行き、収穫することで、その「誰か」にみんなが会いました。人がいて、まちができる。

 このまちなかの畑、かわべ農園に、たくさんの人がおとずれ、かわべ農園のおとうさんにお芋の掘り方を教えてもらいました。帰り際に、おとうさんにお礼を言って帰る方がたくさんいました。美味しいものを持って帰れるよろこびはみんなを笑顔にし、優しくします。

畑には人がいます。畑の役割ってはかりしれない。

国分寺崖線の自然観察会の最後は、瀬田四丁目旧小坂緑地。いろんな生きものとの出会いがありました。

 国分寺崖線の森、わきみず、多摩川。土と水は、すべての源。

川に入り、森を歩き、畑で土に触れ、人に出会うと、そのことがよくわかります。

今日のレシピは、旬の野菜を使った炒め物です。

■せたがや野菜生姜醤油和え■

  • ジャガイモは、一口大に切って少量の油で素揚げします。
  • ヤングコーンとインゲンは適当に切って軽く湯がきます。
  • 生姜醤油をなじませていただきます。
  • ジャガイモ:かわべ農園・はしもと農園
  • ヤングコーン:いしい農園
  • いんげん:大蔵勇気やさい

スタッフのお昼ご飯タイムに。
みんなが掘った後、もう一回畑に。お父さんが掘っていくと、まだまだお芋がありました。

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この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で子どものアトリエを始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」に引っ越し「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開。2023年、「ゆいまあると3つの磁石」近くに建った家に岡本から転居、「あめます舎」と名付けて家開きしている。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク所属。