静嘉堂文庫美術館「旅立ちの美術」展ガイドツアー動画を一挙公開、学芸員による見どころ解説!

 静嘉堂文庫美術館は、静嘉堂創設130年・美術館開館30周年にあたる来年、展示ギャラリーを世田谷岡本の豊かな緑に囲まれた現在の場所から丸の内にある明治生命館1 階(千代田区丸の内2-1-1)へ移転します。

 移転前最後となる展覧会は、「旅立ち」をテーマにし、日本・東洋における旅とそれに伴う出会いと別れ、そして旅立つ人びとが目指した理想の地のイメージを探りながら、静嘉堂所蔵品の伝来にまつわるエピソードや、静嘉堂のこれまでとこれからに思いを馳せる構成となっています。

 広大な敷地内の庭園や緑地の散策も含めて、地域で愛されてきた静嘉堂文庫美術館ですから、お膝元の私たちにとっては今までのように気軽に名品を見に行くことのできないさみしさはありますが、新天地の丸の内は、静嘉堂の創設者であり三菱第二代社長の岩﨑彌之助が、美術館建設を夢見た「理想の場所」なのだそうです。

 二子玉川エリアのまちメディアfutakolocoでは、同館の新しい門出をよき旅立ちとしてお送りすべく、同館の多大なるご協力を得て、「旅立ちの美術」展のガイドツアーを動画で公開し、オンラインによって一人でも多くの方に楽しんでいただくことを企画しました。

 同展の担当学芸員である山田正樹さんから、各章のなかのシンボル的な作品を深く掘り下げた、興味深いエピソードを交えた展示解説をいただくことができました。動画は全4部作、ぜひ繰り返し、お楽しみいただければ幸いです。

※静嘉堂文庫に関連するfutakolocoの記事一覧はこちら

※静嘉堂文庫美術館は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置の休業要請緩和により、6月1日より再開されています。(くわしくはこちら

静嘉堂文庫美術館「旅立ちの美術」展 ガイドツアー動画(futakoloco版)

第1章 旅立ち-出会いと別れの物語 編

 解説見どころ:①諸葛孔明が呉国へ旅立つ使者へ「万里の行はここより始まる」と言って送り出した「万里橋」が描かれた、九淵龍賝題「万里橋図」(重要文化財)②三菱第四代社長・岩﨑小彌太の還暦を祝って孝子夫人が贈った、五世大木平藏「木彫彩色御所人形」のうち「宝船曳」「輿行列」。卯年生まれの小彌太をイメージした布袋さん、弁天様は孝子夫人の面影が。③愛娘を失った遺族を慰めるべく心血を注いで描かれた名品。極楽へ到着するまでの様子が描かれた画帖。「極楽行きの汽車」が描かれた明治5年は、日本の鉄道が開業した年。その影響が見て取れる、河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」。

第2章 理想郷へー神仙世界と桃源郷

 解説見どころ:旅立った人びとはどこへ行くのか…神仙世界や理想郷を描いた東洋の作品を紹介する。静嘉堂の創設者である岩﨑彌之助は東京丸の内での美術館建設を構想していた。丸の内は静嘉堂文庫美術館にとっての「理想郷」といえるだろう。細部の描写まで忠実に模写された色鮮やかな、幕末の絵師・鈴木鵞湖筆「武陵桃源図」。

第3章 名品の旅路ー伝来の物語

 解説見どころ:静嘉堂が有するさまざまな名品の伝来の道筋を「旅路」になぞらえて紹介する。江戸幕府三代将軍徳川家光から乳母の春日局に下賜されたものと言われる「曜変天目」(国宝)。病床にあった春日局へ薬を飲ませるために家光が用いたとされるエピソードなど。そのほか、手搔包永「太刀 銘 包永」(国宝)なども。

第4章 旅する静嘉堂ー静嘉堂の歩んだ130年

 解説見どころ:神田駿河台に創設され、関東大震災の後、岩﨑家の霊廟の地・世田谷岡本に移転してきた静嘉堂文庫。2022年に美術館展示ギャラリーは、岩﨑彌之助が夢見た丸の内へと移転するが、静嘉堂はこれからもこの地に留まる。①「『丸の内美術館』計画図面」説明パネル②「明治生命館」説明パネル

名称
静嘉堂文庫美術館
所在地
東京都世田谷区岡本2-23-1

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

#コミュニティ・プラットフォーム #プロセス・デザイン #パブリック・リレーションズ #パブリッシング #straightfromthegut