【レポート】子どもたちが考える「夢のまち」づくりプロジェクト、ついに発進!

 東京都市大学 二子玉川夢キャンパスを拠点に活動している夢キャンコミュニケーターは、8月6日~11日、小学生約10人とともに「夢のまちをつくろう!」プロジェクトを開始し、1st.バージョンとなる全体イメージの模型を制作しました。

「夢に翼を」街を鳥瞰して理想のまちづくりを考える

 この企画は、東京都市大学4年生の石川侑弥さんが昨年から温めてきたものでした。新型コロナウイルス感染症拡大などで実施ができずにいたところを、二子玉川商店街とfutakolocoが強力バックアップして実現に漕ぎ付けました。

 futakoloco編集部ではかねてより、新型コロナウイルス感染症防止対策のための行動制限によって、心身に大きなダメージを受けている子どもや若者たちが、いきいきとのびのびと過ごせる機会を少しでも確保したい、という思いを持っていました。

 これまでにもfutakolocoの編集部メンバーとして、さまざまなイベントや企画を一緒に行ってきた夢キャンコミュニケーターの石川さんへそんな話をしたところ、「街をミクロの視点だけではなく、俯瞰したマクロの視点でも眺めて、自分たちの夢(理想)のまちを考える機会を子どもたちのためにつくりたい」と、この企画の提案をいただいたのでした。今年4月のことでした。

 

 6月には石川さんから提出された具体的な企画書に基づき、開催に向けてキックオフ。それぞれの役割分担を確認し、子どもたちが連日で参加しやすい夏休みに行うことも決まりました。

大人は口を出せない、子どもたちだけで考える「夢のまち」

 実行メンバーでまず最初に確認したことは「大人に口を出させない」こと。大人にとっては「夢(物語)のまち」でも、未来を担う子どもたちにとっては「理想のまち」。ついつい横からああでもないこうでもない、と口や手を出しがちな大人たちの既存の発想から自由になってもらうこと。そういうワークショップの時間にしよう、と決めました。そのため、開催内容や進行についても未来を担う若者である夢キャンコミュニケーターの大学生に決めてもらいました。

 夢のまちは、二子玉川の地形を元にした模型を舞台に表現されます。「まちづくりリーダー」(募集定員5人)が策定した都市計画(マスタープラン)に基づき、そのほかの自由参加者(最大収容定員40人)と一緒に建物等の模型をつくって設置していきます。対象は小学3年生から中学生、大学生のお兄さんお姉さんがカッターナイフなどの使用をサポートしながら、コミュニケーションを取って制作します。

自分の夢を地図へ書き込んでいく

  都市計画(マスタープラン)とか土地利用区域とか、難しい前提は一旦すっ飛ばして、「まだ何もないまっさらなまち」を見せて、どんな街にしたいか、どんなものがあったらいいと思うか、を聞いていきます。川があって高台があるだけ。この地形が二子玉川であることはまだ明かさず、自分の夢を地図へ直接書き込んでいくのです。

 制作期間は5日間、二子玉川夢キャンパスの開館時間(10時~16時)中に好きな時間に来場して作業をします。最終的に参加者は二子玉川エリア在住の子どもたち10人(うちリーダーは2人)で、夢キャンコミュニケーターは9人で対応しました。

「夢のまち」2022年、「第1章」のお披露目

 最終日の発表会で披露された「夢のまち」。どのような基本計画とエリアイメージでつくられたのか、まとめてみました。

 最終発表会には参加者全員が参加できなかったため、残念ながら「夢のまち」とする理由や工作した建物の意図などについては細かく知ることができませんでした。しかし、子どもたちの制作をアシストした夢キャンコミュニケーターによると、「最近話題のアニメ『鬼滅の刃』などの影響なのか、昔ながらの街並みを求める子が多かったように思う」と明かしました。また、2019年の豪雨被害の記憶によるのか「学校を高台に置きたい」という声も聴かれたそうです。

 まちづくりリーダーとして参加した小学4年生のじゅのさんは、「模型づくりに興味があった」と参加の動機を話してくれました。「自分の住んでいるまちが大好き」というじゅのさん、「もっと緑を多くしたいなあ」とさらなる改善の希望を教えてくれました。新しいまちを大学生の夢キャンコミュニケーターと一緒につくるのは「楽しかった」とも。

 発表会には、玉川町会事務局長の中村輝之さんのほかに二子玉川商店街振興組合理事の鈴木理英さんも来場。子どもたちの「夢のまち」には4つのショッピングゾーンがあり、そのうち3つが「商店街」と名付けられていることについて伺うと、「それぞれに今の特徴を踏まえた商店街がつくられているが、もっと望む形があるのかどうか掘り下げて聞いてみたいと思った」と話し、「個店の集合された場所はカラフルになるし、それが楽しい場所として求められている理由なのかもっと聞いてみたい」と興味深げ。

「夢のまち」づくりは今日が始まり

 最後に、このプロジェクトを企画した石川さんに発表会を終えた感想を伺うと、「本来まちづくりは終わりがないものだと思っている。そういう意味で、プロジェクトをやり遂げたという感触は無く、やっと始まったな、という感じ」と話します。現在4年生で、来年3月に卒業を控えている石川さん、「第1章が終わった、というのが正直なところ。この地形をもっと充実させて、発展させていってほしい」と後輩たちへ夢を託しました。

 二子玉川ライズもまた、30年という長い年月をかけて2015年に完了した、二子玉川東地区の再開発事業によってつくられました。いつか模型を並べて、人々が暮らす街をもっともっとよくしたいという、終わることのない「まちづくり」への思いを感じてみたい。futakolocoは引き続き、子どもたちによる「夢のまち」づくりを応援し、より多くの子どもたちの意見や希望を取り入れた形へ発展させていけるようお手伝いしていきます。

名称
東京都市大学 二子玉川夢キャンパス
所在地
東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズ・オフィス 8階

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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