東京都市大学 二子玉川夢キャンパスで1月21日、「多摩川子どもシンポジウムin 世田谷」が開催され、世田谷区在住の小学生が多摩川の在来魚である「マルタウグイ」の人工授精に成功したことを発表しました。
同シンポジウムは、せたがや水辺の楽校(事務局:NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク)が毎年開催しています。メインプログラムは、活動フィールドである多摩川の水辺で水辺ガサガサや生き物観察などに参加した子供たちが、それぞれの「じまん」を発表する「多摩川じまん大会」。(詳しくはこちら)
今年も「クワガタかんさつ日記」「ぼくのすきなもずのはやにえ」「コゲラについて」「北海道と世田谷区の鳥のちがい」「僕の生きもの学習2023」「今までみてきた生きもの」「うのき・多摩川の生き物の変化」など、幼稚園年長から中学3年生までの子どもたちから全8つの発表がありました。
どの発表者も、普段から自ら関心を持って観察し、疑問を調べたり質問したりしながら「フィールドで学んだ」子どもたちならではの自信に満ちた話と会場からの質問への受け答えでした。その中でも、特に大きなインパクトを与えたのが「マルタウグイ人工授精」について。プレゼンテーションを行ったのは、世田谷区在住のれんぺい君(小4)とりしょう君(小3)。
「釣りが大好き」という2人は、せたがや水辺の楽校の講師であるえのきんさんと一緒にさまざまな魚の釣りを楽しんでいた中で、多摩川の在来魚であり体長50センチという大きなサイズに成長する「かっこいい魚」マルタウグイについて、えのきんさんの提案を受けて人工授精という科学的手法を取り入れた繁殖に挑戦することにしたそうです。
マルタウグイは清流を好み、昔から「春を告げる魚」として2~3月ごろ海から遡上することで知られています。二子玉川地域でも、多摩川の水質が向上したことにより、マルタウグイの姿が再びみられるようになったことを受けて、地域の漁協や活動団体が多摩川の各所で産卵しやすい環境づくりを行っています。しかし、魚が気に入ってくれる「産卵のベッド」を作るのは難しく、なかなか人工床に卵が着くことを確認できないとも言われています。
2人は、自分たちで釣り上げたマルタウグイから卵と精子を採取し、鳥の羽を使って優しく混ぜ合わせました。水槽での孵化についてはせたがや水辺の楽校の工藤美紀さんが預かって行い、成長について逐次情報共有したそうです。人工授精から14日目、ついに稚魚となるまでの様子をまとめた動画をシンポジウムで放映しました(記事最上段に掲載)。
この人工授精は2023年の3月20日に行われ、2人は「2回目で孵化に成功した」と話します。現在、体長5センチほどまで育ったマルタウグイは、近々多摩川へ放流する予定です。
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