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連載コラム「イソマイの建築楽」第3回は、現在国立新美術館で開催中の「安藤忠雄展―挑戦―」展に関連したお話。12月18日(月)までの開催の同展、すでに大きな話題となっており、連日盛況なようですが、実は二子玉川エリアにも連携があるのです。
同展の開催を記念して実施中の「ANDO建築スタンプラリー」。展覧会会場(国立新美術館)と東京都内7か所の同氏建築作品場にオリジナルスタンプを設置し、全7カ所のスタンプを集めた方の中には抽選で20人に「安藤忠雄展-挑戦-」グッズ5点が当たります。その「建築作品」のひとつに東急大井町線上野毛駅がエントリーされています。
上野毛駅の設計者が安藤氏であることはよく知られていると思いますが、改めてその魅力をイソマイ視点で探ります!
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■ 第三回 東急大井町線上野毛駅
今も非常に混んでいるそうですが、国立新美術館で開催中の「安藤忠雄展―挑戦―」もう見に行かれましたか?この展覧会は様々な事で話題となり、それに伴って関連本も出版されています。
半世紀におよぶ安藤氏の活動から、約270点の資料や模型、89件のプロジェクトを紹介する過去最大規模の個展です。模型展示が沢山ある事も話題となっていますが、一番の注目点は、原寸大の「光の教会」を展示場の敷地内に作ってしまったこと。仮設で作ったのではなく、増築の申請を出して、本物を作ってしまったのです。すごい事ですよね。実際の教会の十字のスリット部分にはガラスが入っているのですが、ここでは当初のコンセプト通りガラスは入れなかったそうです。
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さて、上野毛駅について。2007年に供用を開始した同駅舎の設計者である安藤忠雄氏は、1941年大阪生まれ、プロボクサーのライセンスを持ち、独学で建築を学ぶという異例の経歴の持ち主。メディアの使い方が上手だなといつも思うのですが、この方がいなければ、今ほど建築という業界が一般の人に開かれてはいなかっただろうなと思います。
※参考資料 東急電鉄「沿線・駅周辺ガイド 上野毛駅」
上野毛駅でまず目を奪うのが上野毛通りをまたいで覆う、全体の長さ120mの大屋根です。バスを待つ時や改札に入る前にこの空間があるだけで、雨の日も暑い日も豊かな気持ちにさせてもらえる場所です。この大屋根が出来たことによって、バス停の位置も改札前に移動されたそうですから、この屋根がどれだけ大切なものなのかがわかります。
駅舎には、保育園と飲食店と自転車置き場が併設されているのですが、駅全体の雰囲気を壊さないような位置に配置されていて、考えられているなと思います。
先日11月14日に駅を訪れた際、改札を入ったところに、ANDO建築作品スタンプが設置してあるのを確認しました!と、同時に図面などのポスターも設置してあり、一気にテンションが上がりました。スタンプを押しながら、駅の解説を読み、いよいよホームへと向かいます。
エスカレーターを下ると、グレーに統一された柱が並びます。
グレーは他の色をくっきりと見せてくれるので、道に生えている緑が良く映えます。
私の最寄駅なのでよく利用しているのですが、ここで電車を待つ時はスマホではなく、ぼーっと線路を眺めてしまいます。なぜか時間がゆっくり流れているような感覚になるのです。
生活の中に根付く建築は、街の風景を創り出す大切な要素の一つです。風景として楽しみ、使って楽しみ、そこに行く為の目的にもなりうる。地域に愛される建築は大切に使われ、長く使われる事になる事で、サスティナブルなものとなるのではないでしょうか。
◼︎DATA
◇上野毛駅
設計者:安藤忠雄建築研究所+東京急行電鉄+大建設計
述べ面積:2,587.8m²
概要:S造 地上2階地下1階
施工期間:2007年6月~2011年3月
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上野毛に来たら、駅から徒歩5分の五島美術館にもお立ち寄りください。先日、本館と茶室が国登録有形文化財に選定された同館。1960年竣工の本館は平安調の意匠を示しており、文化勲章受章者の建築家吉田五十八の代表作です。この時期は庭園の紅葉と落ち葉が綺麗です。
私たち二子玉川まち情報プロジェクトが五島美術館と共同制作している「お散歩マップ」を片手に上野毛で建築巡りをぜひ。ランチには、今年開店40周年を迎えたアンクルサムズの美味しくてボリューム満点のサンドイッチをオススメします!
【コラム:イソマイの建築楽(ケンチクガク)】世田谷編#2 世田谷区本庁舎建て替えプロポーザル~既存の建物と前川國男
http://futakoloco.com/column/isomuramai/3789
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