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現在、東京ステーションギャラリーで開催中の「くまのもの」はご覧になりましたか?
新国立競技場の設計でもお馴染み、世界的に有名な建築家・隈研吾氏の展覧会です。展示も体感型が多く、親子での見学もオススメです。あれもこれもNGな展示会が多い中、こちらのすべての作品の写真撮影がOK! 5月6日(日)までなので、GW中でも間に合いますよ。
さて、そんな隈研吾氏と世田谷の建築についての関わりを探る旅についてご紹介していきます。第一回目は二子玉川から。隈氏が手掛けた建築が二子玉川にもあること、ご存知でしょうか?
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■ 都市建築に自然を取り込む―玉川高島屋S・C本館(ファサード改修)とマロニエコート建替え
二子玉川の顔と言える玉川高島屋S・Cは、駅西口を出た正面に建っており、南館から北に向かって本館が続いています。この本館ファサード(正面外周部分)改修(2010年6月)と、マロニエコート(2009年10月)の建替えを隈研吾氏が手掛けました。
今回は玉川高島屋S・C本館(ファサード改修)についてご紹介しましょう。まずはビフォア・アフターを下記の画像でご覧下さい。(写真提供:玉川高島屋S・CのTさん)感謝いたします。
▼Before
▼after
写真を比べてみてもわかるように、以前は商業施設としてシンボリックな白い箱型だった外観が、歩行者専用通路は曲線的なデザインを用いて緑を覆わせ、建物外観は温かみのある木目の市松模様になり、環境に溶け込むデザインに変わりました。当時改修に関わったTさんによると、設計の話し合いの中で提案いただいた何案かのプランの中で、一番「挑戦的」な案だったそうです。
「挑戦的」の意味は、建物を目立たせる事よりも、あえて街の風景に溶け込むデザインにあります。この案が本当に通るのかと不安になるくらいの決断だったとの事。これは依頼する側(東神開発)と依頼される側(隈研吾氏)の綿密なディスカッションによるものだと思います。都市にありながら「自然と共にある二子玉川」という風土に沿ったコンセプトを選び、緑や自然素材を上手く取り込むことによって、時間や季節の変化と共に外観が変化していく姿は、訪れる人や毎日この建物を眺める人々へ新しい感覚と懐かしさの両方を与える質の高い建物となりました。
Tさんに当時印象に残っているエピソードについてお聞きしたところ、こんな事を教えてくれました
本館外周に縦に入っている白いパンチングメタルは、限られた重量の中で風速60mの強風にも耐える強度が求められます。約200枚の一枚一枚に別々に穴をあけてどう支持材を打つかを構造計算しているため、隈さんから出される形状デザインが変わるたびに設計スタッフは真っ青になっていました。また、外観に絡む蔦は、当初想定ほど育たず、植栽担当は植え替えや誘引に追われました。当初2~3年で想定していた植栽の繁殖は、8年ほど経った現在、やっと近付いてきたと実感しています。
想定よりも長い時間をかけて、今のような自然と共存するようなデザインが実現されたのですね。
毎日晴れの日も、雨の日も、雪の日も、朝夕の保育園の送り迎えの道、春夏は緑の勢いに癒され、秋は紅葉、冬はイルミネーションで華やかです。この景色に何度救われたことか。そんな意味でも個人的に思い入れの強い建築です。
次回はマロニエコートについて、またTさんにもお話を伺いながら進めて行きたいと思います。
お楽しみに…。
◇玉川高島屋S・C本館ファサード改修
設計:隈研吾建築都市設計事務所
百貨店
延べ面積:55,000 ㎡(改修面積981.46 ㎡)
竣工:2010年6月
玉川高島屋S・C
https://www.takashimaya.co.jp/tamagawa/
- 名称
- 所在地