東急が二子玉川エリアで先行開始した地域内コミュニケーションアプリ「common」(コモン)。スタートから2カ月が過ぎ、総ユーザー数は1,000人を超え、「想定よりも高い継続利用率」を維持しているそうです。
commonは、二子玉川エリアのマップに連動しており、リアルタイムで街の情報を共有する「投稿機能」と、街の困りごとや疑問を解決する「質問・回答機能」を持っています。
現在、世の中にはSNSと呼ばれるさまざまなインターネット上のコミュニケーションツールがありますが、それらに比べてこのcommonは、圧倒的にシンプル。感覚的に操作することができます。
投稿の文字数は最大200字、画像添付は1点まで。投稿者の情報は掲出されず、プロフィールアイコンも用意されたイラスト9種類から選ぶ仕組み。投稿ではハイパーリンク(外部リンクへ移動)貼付が可能ですが、他のユーザーの投稿をシェアすることはできません。また、投稿がタイムラインで表示されるのは48時間です。
これまでのSNSは、投稿する「人」に紐づいた「Social Networking」であり、その人の一連の投稿内容や主張に賛同し、その投稿者の「キャラ」への関心が集まりコミュニティが形成されることが主流でした。しかし、commonは、先に書いたように投稿者自身の情報がほぼ無いため「投稿者のキャラ」が立たず、結果として投稿内容を核にコミュニケーションが生まれるよう設計されていることが特徴です。
まちづくりを自分事に、まちづくり活動へのハードルを下げる
同アプリを企画・開発した経営企画室経営政策グループの小林乙哉さんは、「まちづくりを自分事にするために、街で起きている情報をフラットに見せることで、まちづくり活動へのハードルを下げたいと考えた」と、企画の狙いを話します。
実は、小林さん自身、二子玉川エリア在住で子育ての真っただ中。2019年10月の台風19号を経験し、普段は意識していない地縁の大切さを再認識した一方で、知り合いや地縁者ばかりではない都市生活での緊急時の助け合いのあり方や、災害復旧などの手伝い、不足している物・事などのタイムリーなマッチングができる仕組みの必要性を感じたそうです。
このアプリの最大の面白さは、より多くの地域の人が活用することで「街への貢献」が数値として可視化できる機能が搭載されていること。具体的には、投稿に対してほかの利用者から「ありがとう」ボタンで反響が得られる仕組みになっており、その数が増えると「街のcommon(みんなの共有財産)」の発見に貢献した、と通知が来ます。
それは、街の中であまり存在を知られていなかったお店や出来事、風景を見つけ、それを地域へ知らせたことで「身の回りの小さな発見・幸せを提供してくれた」と評価する意味があるそうです。「このことで、利用者間のコミュニケーションの活性化をも促進する狙いを持たせた」と小林さん。
とはいえ、アプリはまだまだ実験段階。commonのコンセプトや狙いを実現するために、日々機能や仕様の更新を行っていくそう。6月からは、匿名の一般アカウントと異なり、街の店舗や団体として認証を受けた「パブリックアカウント」が登場し、個別のアイコンや名称、活動内容などが表示されるという試みも。
二子玉川で「最もアップデートされたまちづくり」を
小林さんは「今後、住民間の助け合い機能の拡充や、シェアリングサービスなど、街の中にあるあらゆるサービスとつなげることで、一人一人のライフスタイルに応じた、地域内のさまざまな生活シーンを支える『生活基盤プラットフォーム』となることを目指している」といい、二子玉川駅周辺エリアでの実績を踏まえて、東急線沿線内外のエリアへの展開を見据えている、と明かしました。
二子玉川は「もともと地域活動が盛んであり、街に豊富なアセット(資源、資産)があった。人口構成比のバランスもよかった」という理由によって、数ある東急沿線の街の中からcommonの先行実験の場所として選ばれました。
「手の届く範囲のソーシャルグッドによって、身の回りの誰かの生活を少しずつ、より豊かにしていく活動こそがまちづくり。一部の人しか関われない特別なものだったまちづくりを、だれもがカジュアルに、楽しく関われる日々の当たり前になるように」(小林さん)。
commonがまちづくりの新しいアルゴリズムを生み、「最もアップデートされた」まちづくりを二子玉川で見られるきっかけになるかもしれません。
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【common運営事務局公式blog】