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隈研吾氏と世田谷の建築についての関わりを探る旅。第二回目は前回のつづきから。隈氏が手掛けた建築が二子玉川にもあること、ご存知でしょうか?
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■ 都市建築に自然を取り込む―玉川高島屋S・C本館(ファサード改修)とマロニエコート建替え 前回のつづき。
前回、隈氏が手掛けた二子玉川の街における作品として玉川高島屋S・C本館(ファサード改修)(2010年6月)を紹介しましたが、実はそれよりも先に「マロニエコート」(2009年10月、玉川3)の建替えが行われています。
「マロニエコート」の設計コンセプトは「二子玉川の持つ開放感」。そして、緑の庇が特徴的です。低層で透明感のある商業施設で、緑と建築、建築と人、そして外部と内部を上手くつないでいます。
1階部分の緑の庇は奥行きがあり、歩行者専用のアーケードの日差しや雨を遮りながら、ガラスの反射を防ぎ、店舗内が良く見渡せるような透明感を作っています。
また、通路にベンチを設置する事によって、ただ移動するためではなく、そこにとどまって休憩できる演出とあり、居心地の良い空間となっています。この居心地の良い空間がある事で、自然と施設の入口に誘導されるようになっているなといつも感じています。
また、この緑の使い方が本館の外周の改修にも応用され、緑の空間が連続する二子玉川の西商業エリア全体の統一感を出しています。
マロニエコートが開業したのは2001年。2009年の玉川高島屋ショッピングセンター開業40周年を機に隈研吾氏のデザインによって建替えられました。同S・Cを運営する東神株式会社は、この機に二子玉川東地区再開発第一期事業(二子玉川ライズ)が開業を迎える2011年までの3年を「40周年記念事業」と位置づけ、二子玉川の「街全体」の魅力を高めることを目的に同時に大規模リニューアルを実施したのです。
2010年に玉川高島屋S・C本館(ファサード改修)、その後二子玉川東地区再開発第二期事業が開業の2015年には、マロニエコートを増築し、現在の風景となりました。
前回、玉川高島屋S・CのTさんにお話しをお伺いした際にこんな事を話してくださいました:
私の私見も入りますが、約50年の歴史の中で段階的に開発されてきた玉川高島屋S・Cの各館のデザインは、統一的にすべきでは「ない」と考えています。例えば、ルーブル美術館の各棟がその時代ごとの建築様式を色濃く残して全体として建築のヒストリーを表現しているのと同様、玉川高島屋S・Cも時代を映す街並みであるといいと考えていました。
「時代を感じさせながら歴史として残されていく建築の姿」は、懐かしさを残しながらも新しさを感じさせ、街に長く愛され利用される風景を作っていくのではないでしょうか?
「老舗」とは、街にそういう風格を与える存在なのかもしれませんね。
さて、次回は世田谷区内の隈研吾氏の建築について、第3回目。お楽しみに…。
◇玉川高島屋S・C マロニエコート建替え
設計:隈研吾建築都市設計事務所
商業施設
延べ面積:8,245 ㎡
竣工:2009年10月
玉川高島屋S・C
https://www.takashimaya.co.jp/tamagawa/
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