開業50周年を迎えた玉川高島屋では、今年のクリスマスは、「Natural&Ethical」をテーマに、森林保全団体「more trees (モア・トゥリーズ) 」とのコラボプロジェクト「love and trees」を展開。テーマは、「人と自然とともに、二子玉川の未来を願うEthical Christmas」。なんと、クリスマスツリーの点灯式に建築家の隈研吾さんがお話しするというので行ってきました。
隈さんは、10年前の2009年の玉川高島屋S・Cがリニューアルした際の本館ファサードを設計されました。リノベーションでは、「古いものを生かしつつ、それを磨き上げる」ことの難しさ、そして、「その制約の中での面白いもの」に人は注目するのだ、とお話ししてくださいました。具体的には、マロニエコートの滑らかな曲線と木の使用だったのですが、このことは、futakolocoの『イソマイの建築学』に2回シリーズで書かれていますので、ぜひ、読んでみてください。
【コラム:イソマイの建築楽(ケンチクガク)】世田谷編#6 二子玉川と隈研吾①
【コラム:イソマイの建築楽(ケンチクガク)】世田谷編#7 二子玉川と隈研吾②
「二子玉川は環境とともにある街の先進事例になったのでは」と隈さん。隈さんは、幼少のころ、田園調布小学校に通われていて、遠足で2時間くらい歩いてのどかな二子玉川まで来ていた思い出もお話くださいました。
今回のクリスマスプロジェクトの全体監修を行ったのは、more trees代表を務める音楽家 坂本龍一さん。「教授(坂本さん)とは学生時代からの友達で、アメリカで一緒に遊んだりしたんですが、そのころの教授は「テクノ」、僕の建築も全然木ではなかった。」と隈さん。そのお二人が、歳を経て、美しいものを追求していた結果「木」にたどりついたのだと。
「木は、人をほっとさせリラックスさせてくれる。そして、そこには『ノイズ』があるのだ、その『ノイズ』が大切」という言葉はとても心に響きました。
オーナメントに使用されている杉の木は、ムラの大きい木なので、その「ノイズ」が大きいそう。クリスマスツリーの近くに行くと、その香りに包まれます。
今回、クリスマスツリーのオーナメントには、隈さんの開発された「TUMIKI」を使って子どもたちが作ったものも飾られています。
この「TUMIKI」は「積み木赤ちゃん(積み木さえあればおとなしく何時間でも遊んでいたそう)」だった隈さんがヨーロッパ的積み木ではない、日本の文化にあった積み木をということで開発したそう。
通常、私たちが遊んでいた積み木は、ブロックでそれを積み上げていきます。隈さんの「TUMIKI」は、「編む」をイメージしているそうです。日本の「編む文明」にあった日本らしい積み木。この積み木を使うこと、「木を触っている」ということで、頭の自由度があがっていくはず、と隈さんはおっしゃいます。木に触れるとそれは、あたたかく、いい匂いがします。そのことで、やさしい気持ちになると。
これからの子どもたちのこれからのまちづくりに対して、どんなことを伝えたいか、という問いに対しては、「大きなもの、高いものではなく、小さいもの、低いものに価値を見出してほしい」と。
その言葉を聞いて、どんなに高い木も、高い建物も、その足元は土だもんなあ、と思ったのでした。隈先生、とても素敵なお話、ほんとうにありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
玉川高島屋S・C 2019クリスマスプロジェクト「love and trees」11月11日 (月) ~ 12月25日 (水)
期間中のチャリティコンテンツ、特設会場の設置や、コンサートなどのイベントの開催については、公式サイトでご確認ください。
- 名称
- 玉川髙島屋S.C
- 所在地
- 世田谷区玉川3丁目17番1号