伊佐ホームズのギャラリーで「児島善三郎展」国分寺崖線と野川が育む田園風景作品

 瀬田に本社を置く住宅設計・建築会社伊佐ホームズは現在、暮らしの提案を行う空間「ギャラリー櫟」で絵画展「久遠の生命の把握‐児島善三郎展」を開催しています。

ギャラリー櫟展示の様子

 児島善三郎は、日本とヨーロッパの絵画を融合した「日本人の油絵」を追求し続けた昭和初期の画家です。複雑な構図、重層的な色彩といった西洋の油絵の豊穣さを会得したうえで、 短歌や俳句に通ずる日本の感性を持って、一瞬の美を見事に捉えたと評されています。同展では、1935(昭和10)年から1950(同25)年に描かれた作品約40点を展示し、特に1936年から住み始めた国分寺時代の作品が中心の構成となっています。

 児島善三郎がアトリエを構えた国分寺は、国分寺崖線とその下を流れる野川によって世田谷と繋がっています。武蔵野を北東から南東の方位に対角線状に貫く崖線は、古く多摩川によって削られた段丘で、旧石器時代・縄文時代から現代まで人と水との生活の歴史を伝えています。自然との共生、そこに生活する人々が日々の労働により作り上げてゆく田園や畠の四季の美しさが定点観察的に描かれた作品から、「多摩川と田園風景のみずみずしさを現代に生きる私たちも同じように感じることができるのでは」と同展を企画担当した伊佐ホームズの金子京子さんは話します。

伊佐ホームズ・同企画担当の金子京子さん

 開催のきっかけは、同社社長の伊佐裕氏と児島善三郎が同郷であり、同じ高校の卒業生であったこと。同社が2013(平成25)年から施主向けに発行している小冊子「伊佐通信」の表紙装画としても採用されています。

 同展は、もともとは今春に開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて11月に延期。会場での検温とマスク着用など、来場者の安全対策を万全にした上で実施することになりました。「四季や移りゆく時間によって、刻々と姿を変える大いなる自然、それに呼応するように営まれている人々の暮らし。私たちが忘れてはならない風景が、一枚の絵に昇華されています。お子さまをはじめ、すべての人にご覧いただきたい」と金子さん。

 開催は12月20日まで。開館時間は10 時~17 時(最終日は 16 時まで)。水曜休廊。入場無料。開催概要はこちら(伊佐ホームズ公式サイト「ギャラリー櫟」企画展ページが表示されます)でご確認ください。

児島善三郎展 フライヤー(表)
児島善三郎展フライヤー(裏)

 

名称
ギャラリー櫟
所在地
目黒区東が丘2-13-25

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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