連載コラム 春告げ魚・マルタウグイレポート2021③3年ぶりにマルタが跳ねた!はこちら
二子玉川エリアマネジメンツの毎年恒例の活動であり、公益還元事業の一つであるかわのまちアクション【マルタウグイと産卵環境づくり】。6回目となるはずだった今年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言下にあることから、昨年同様、一般参加を募るイベント開催は中止しました。
しかしながら、マルタウグイは毎年変わらず多摩川を遡上しますし、こんな時だからこそ2022年以降の活動継続を目指し、今回はこれまでこの活動を支えてくださった有志のコアメンバーを中心に、当法人事務局メンバーと力を合わせて、改めてマルタウグイの産卵床の作り方やメンテナンス方法を見直し、細やかな遡上調査と観察を行うこととしました。
3月14日に多摩川に架かる新二子橋より少し上流で産卵床づくりを行い、そこから毎日のように観察・調査およびメンテナンス作業を数人で社会的距離を保ちながら継続してまいりました(マルタウグイレポート一覧はこちら)。
仕事前に、お昼休みに、週末に…少しの時間を見繕い、自発的に河川敷に足を運び作業をしてくださった方々は総勢20人ほどでしょうか。現地には来られなくとも、この活動へ関心をくださった方からもさまざまな情報をお寄せいただきました。多摩川はこうした方々によって慈しまれて来たのであり、この思いを継続することこそが自分たちの役割だと改めて実感しました。
4月30日、当活動を初回から進めてきた中村輝之が、今年の「マルタウグイ産卵床観察 終了宣言」を発出いたしましたので、以下にメッセージをご紹介いたします。
緊急事態宣言の最中であり、かわのまちアクションの公式イベントとしては中止せざるを得なかった今年のマルタウグイ産卵環境づくりだが、指導をしてくれた多摩川漁協の谷津田さん、NPO法人せたがや水辺デザインネットワークの中西さんの想いを途絶えさせたくなかった。そんな思いで、有志約20人で密にならないよう留意して実施することにした。
2020年に両指導者を失い、過去5回の経験をもとに産卵床の場所の選定からメンテナンスも含めた「実証実験」と位置づけた。
現在多摩川は、一昨年の台風19号による緊急治水対策の工事中でもあり、過去と比較するとコンディションに制限のある中での産卵床作りであった。しかし、結果的には例年に比べて少し規模は小さくも、素晴らしい産卵床を作ることができた。
3月14日の設置から3回ほど大雨に祟られたが、昨年や一昨年ほどの大きなダメージを被ることはなかった。約半月後には大規模なメンテナンス作業を行ったが、その際に偵察に来たようなマルタウグイの姿を初めて目視した。
そして10日ほど経った日の夕方、メンテナンス作業に来た有志の仲間たちと一緒に3年ぶりに瀬付いたマルタウグイ数匹を確認することができた。
その後は4月25日からの大潮に期待したが、確認することはできなかった。マルタウグイのシーズンもそろそろ…ということで、4月30日に産卵床に設置していたペグや紐などを撤収した。平日の午前中ということで、事務局メンバーであり東急の社員でもある2人がオフィスから胴長を持って駆け付けてくれて、入水して作業。ありがたい。
3年前に見た、マルタウグイが「バシャバシャ」と跳ねる瀬付きは見られなかったが、久しぶりにオレンジの尾びれや背びれを仲間たちと見ることができた。来年以降に向けて一定の学びと成果があったということで今年は終了、これでよしとしたい。
これからもこの活動は継続して実施していきたい。