世田谷美術館で「緑の惑星 セタビの森の植物たち」半数が初公開作品、区内小学生作品1200点コラボも

世田谷美術館で2月27日、「世田谷美術館コレクション選 緑の惑星 セタビの森の植物たち」展が始まりました。本展では、同館のコレクションから古今東西の多様な手法で植物を表現した作品約130点を展示。さらに、世田谷区内の小学生が制作した1200点以上の植物作品もコラボレーション展示されています。

世田谷美術館入口(2月26日)

同館は、桜の名所としても知られる砧公園内に位置します。早春の陽光を浴びながら公園を散策した後、美術館で人々の心が織りなすアートの「森」に入り込む楽しみ方もおすすめです。

「セタビの森」シリーズ第2弾は「植物」

本展は、2023年に開催された「わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち」に続くシリーズ第2弾。地球上の生命の原点である植物について、アンリ・ルソーや北大路魯山人など、世田谷美術館の代表的なコレクションに加えて、収蔵後初公開となる作品も多数展示。油彩、屏風、掛軸、版画、彫刻、工芸、写真、スケッチなど、多彩なジャンルの作品を通じて、植物表現の豊かさを堪能できます。

区内小学生とボランティアが共創する特別展示

世田谷美術館は、1986年の開館以来、区立小中学校の授業の一環として年間約8000人の児童・生徒を受け入れています。鑑賞リーダーと呼ばれる400人以上のボランティアが案内役を務め、地域に根ざした教育普及活動を行ってきました。

本展では、通常の展示順序(時計回り)を変更し、区内11の小学校の2~6年生が制作した1200点以上の植物作品を「展覧会のクライマックス」として展示。緑豊かな採光窓に囲まれた廊下の天井や壁に作品が飾られ、子どもたちの創造力と生命力が感じられる空間が広がります。これは、地域との連携の積み重ねによって実現した集大成ともいえる試みです。

早春の砧公園と「セタビの森」、二つの散策を楽しむ

美術館がある都立砧公園は、紀元2600年記念事業として都市計画決定された大緑地が前身。戦時中は防空緑地、戦後は都営ゴルフ場として開放されました。「家族ぐるみで楽しめる公園」として、芝生の広場と樹林を生かしたファミリーパーク区域と運動施設区域が整備され、四季折々の自然が楽しめます。

第一章「森林」では、日本画家・吉田善彦の「武蔵野月の出」(1983年)を展示。本作は、造成前の砧公園(現・ファミリーパーク内)の雑木林を描いたもので、現在もその面影を残しています。

会期中、梅や桜がほころぶ早春の光と風の中、公園をゆっくり散策し、美術館では時空を超えた別の森に足を踏み入れる──そんな贅沢な体験ができます。

砧公園梅林の様子(2月26日)

来場者が参加できるコーナーも充実

鑑賞後、自分でも何か表現してみたくなることはありませんか?本展では、来場者が自由に創作できる「みんなで作るセタビの森」コーナーが設置されています。

また、「100円ワークショップ「オリジナルカンバッジを作ろう」(会期中の毎週土曜 13:00~15:00)や、3月29日(土)・30日(日)開催の「世田谷美術館さくら祭」では、ワークショップやフリーマーケットが実施されるそうです。また、「春の盆踊り!みんなで輪になって『葉っぱのダンス―光合成―』」といった参加型イベントも予定されています。

詳細は、世田谷美術館公式サイトや各種SNSでご確認ください。

開催概要

会期       2025年2月27日(木)〜2025年4月13日(日)

会場       世田谷美術館

住所       157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2 Google Map

展示室   世田谷美術館 1階展示室

時間       10:00〜18:00(最終入場時間 17:30) ※休館日:月曜日

観覧料   一般500円、65歳以上400円、大高生400円、中小生300円、未就学児無料

※障害者の方は300円。ただし小中高大生の障害者は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料。

【世田谷美術館公式サイト|展覧会ページ】

SNS      

主催       世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)

後援       世田谷区、世田谷区教育委員会

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futakolocoではこれまでにも世田谷美術館の展覧会をたくさんレポートしてきました。ロコ記者それぞれの視点で、感じたことをオリジナルな表現方法で記録しています。地域に愛されている世田谷美術館をぜひ記事から感じてください。

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名称
世田谷美術館
所在地
東京都世田谷区砧公園1-2

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長&ファウンダー。二子玉川在住20年。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。法律専門書出版社勤務と米国大学院留学(高齢化社会政策)を経て、2016年〜2022年、自らの暮らしの場である二子玉川のエリアマネジメント法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。最近は生まれ育った西多摩の多摩川および秋川の水辺界隈でもじわりわくわく活動中。

暮らしを起点にした「本当にクリエイティブな社会」のタネを自らのアンテナで見つけ、リアルに伺った物語を記録し続けることがいま、とっても楽しいです!