【レポート】秋の優品展「禅宗の美術と学芸」展覧中の五島美術館に行ってきました

上野毛駅を降りて左手にまっすぐ進むと、閑静な住宅街に大きな一戸建てが並ぶ。その中でも一際大きい家があり、表札には「五島」の二文字、五島美術館はその隣にあった。

 五島美術館では10月14日まで「秋の優品展 禅宗の美術と学芸」を開催している。中世の日本文化を象徴する書画や墨跡、さらには館蔵の茶器や陶磁器など計70点が展示中だ。

 美術館に入って右手、愛染明王像の奥にある全面が黒に塗られた部屋に書画と墨跡と書物が展示されている。書画には七福神として有名な布袋や、「この橋渡るべからず」などのトンチ話で有名な一休などが飾られている。掛け軸の装飾の華やかさとそれに相反する墨絵の侘しさの融合は、じっと見ていると鑑賞している時間の流れを忘れさせてくれる。墨跡は単に文字と言っても、草書体のしなやかな曲線で書かれたものや、丸みの強いゴシック体のような、なんだかぽつんとした文字の作品もあり、一つ一つの展示品がその書かれた内容を異なる字体により個性豊かに表現している。

 この展示室の反対側には日本陶磁器が展示されている部屋がある。慣れ親しんでいる皿や茶器でも、この世界に唯一無二で、さらには歴史的な価値を含んでいる物となれば、その色合いや形からは作品の意味合いを想像することができる。これら焼き物などのような「一点物」は日常生活でどれだけ目にするものができるだろうか。私たちが普段使う服や鞄、電子機器などのほとんどは工場で大量生産されたものであり、一体誰が作った物なのかはわからない。展示されていた陶磁器からは遠い昔の誰かからのメッセージを感じることができた.

 美術館中央から庭園に出ることができる。そこは自然豊かで、道沿いにある灯篭や地蔵が薄ら寂しさを感じさせる心地よい散歩コースになっている。15分ほどで1周ができると係員に言われたが、景色を写真に撮りながら歩けばいつまでも散歩コースを周回できそうなほどであった。この時期はまだ葉が明るい緑色であったが、10月になれば道沿いのもみじが赤や橙に染まりよりいっそ美しくなるだろう。

 今回の展覧会は10月6日から14日までの間、特別展示として国宝の『紫式部日記絵巻』が期間限定で展示される。国宝を見ることができる希少な機会を、紅葉迎える庭園の散歩と共に一度見に来てはいかがだろうか。

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五島美術館 「禅宗の美術と学芸」
2018年8月25日~10月15日

特別出品 [国宝]紫式部日記絵巻
2018年10月6日~10月14日

東急・大井町線「上野毛駅」下車徒歩5分 
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五島美術館入口の看板

五島美術館

https://www.gotoh-museum.or.jp/

名称
所在地
五島美術館 

この記事を書いた人

いちさん

東京都市大学の大学院生.家は横浜だけど大学がニコタマ付近なので縁あって記事を書いてます.美術館や博物館のレポートを偶に書きます.