日曜日に、崖の上にある松本記念音楽迎賓館に行きました。ここは、公益財団法人音楽鑑賞振興財団の創設者、松本望さんの住んでいた邸宅。
(松本記念音楽迎賓館ホームページ)
ここでは、2011年の東日本大震災のあとに、東北の大船渡でのアートワークショップの資金集めのためのチャリティーコンサートをやらせてもらったり、毎年「みどりの講座」をやらせていただいたりしています。
建物と緑地、茶室といった佇まいだけで素晴らしいのですが、何がすごいって、ここには音楽ホールがあるのです。それも、Aホールは、壁が木なのです。
チェンバロなど、楽器もいろいろあるのですが、なかでも、木のホールの真ん中にある、ベルギー製のパイプオルガンは、なんと木製。
いろいろと出入りをさせてもらっていても、楽器は演奏者がいないと、音色を聴くことができません。3月になったある日、「知り合いがパイプオルガンとお琴と尺八の演奏会をするよ」とせたがや水辺の楽校の講師の「まーちゃん先生」が声を掛けてくれました。演奏会の日、ちょうど午前中は松本音楽迎賓館のすぐ近くの瀬田四丁目旧小坂緑地でミーティングの予定が入っていて、坂を上って崖上に行っている。パイプオルガンの演奏を聴ける滅多にないチャーンス!
何年前だったか忘れてしまったけれど、チェンバロのイベントを瀬田四丁目旧小坂緑地(その時の名称は瀬田四丁目広場)と連動でやったことがあり、その関係でパイプオルガンを聴かせてもらって以来のような…。50脚椅子が入るか入らないかの小さなホール。パイプオルガンの横には、二面のお琴と、尺八。
開演15分前、小さなホールの赤い椅子のほとんどはお客さんで埋まっていましたが、運良くいちばん前が。迷うことなくいちばん前のど真ん中に。
木のホールに響く音はなんとなくまるい感じがします。「小倉百人一首」という歌は初めて聴きましたが、すごく面白かった。
最後の曲「一陽来復」の時に、お琴のハプニングがあったのですが、いちばん若いあみんさんがニコニコしながら「先生の曲は難しすぎるんですよ」とつっこんだり、素晴らしい演奏なのだけど、ふんわり春風が吹くような軽やかな空気がとても心地よい演奏会で、大きなホールで聴くのとは違う、小さいけれどあたたかい感動がありました。
最後のご挨拶が終わったあと、思わず、「どなたもお写真を撮っていらっしゃらないようなので、撮らせてください!私、まちメディアで記事を書いているので、載せていいですか?」と迫ると、快く引き受けてくださいました。
日本画家、山田智保氏によるステンドグラスの窓も素晴らしいので、みなさんステンドグラスもパチリとカメラに納めていました。そして、この窓の向こうには実は桜の木もあり、かつて、満開の桜の中でのコンサートという日もあって。今ごろ、もう咲き始めているのではないかなあ。
多摩川と国分寺崖線という自然。湧き水、畑、古民家のある公園。小劇場、美術館、そしてこじんまりとして、緑に囲まれたいい音の聴ける音楽ホール。やっぱりここに住んでてよかったなあ、と少し風が冷たくなった坂道を自転車で下りながら、嬉しい気持ちがこみあげてきました。
4月最初の金曜日のコンサート!絶賛参加者募集中みたいですが、ねらいめかも~
生活の傍に、アートがあるって、いいな。
- 名称
- 松本記念音楽迎賓館
- 所在地
- 東京都世田谷区岡本2-32-15