今年の冬は野菜の値段が高くなっていてスーパーに行ってびっくりしました。
この辺の地域は都心でありながら、自然に恵まれ、減ってはいますがまだ農地もたくさんあります。子どもたちが小学生のころは「ゴーちゃん(犬)のパパにもらった!」と大きな大根を抱えて帰ってきたこともあったっけ。
私もこの地域に20数年前に移り住んできたわけだし、自分が農業を営んでいるわけではないので、いろいろ言うのもどうかとは思うのですが、正直これ以上農地がなくならないでほしい、と思っています。子ども達が小さい頃には、イチゴは苗を畝ごと購入して、4月末から5月いっぱい毎日毎日おひさまの光をいっぱい浴びた真っ赤なイチゴを畑で摘んで食べていました。子ども達は、そのイチゴが甘かったので、パックのイチゴを食べなくなったくらいでした。夏には、トマトの苗を購入して毎日収穫していましたが、大阪に転勤して5年、帰って来たらその農園はアパートになっていました。
田舎から遊びに来た母は、毎日芋ほりやイチゴ摘みにつれていかれ「東京に遊びに来たのになあ」とぼやいていたくらい、農地が身近なところ。減ってきたとはいえ、今でも、歩いて行ける範囲に野菜の販売スタンドがあり、昨年から借りている「ゆいまあると3つの磁石」の大家さんのお宅にも畑があるし、目の前も別の方の畑でお庭に野菜販売スタンド。「今日、ブロッコリーある?」とか「でてないけど白菜とってけば?」とか、巷で「野菜が高くて鍋ができない!」と言っていた時もありがたいことにまったくその状況を知らずに白菜をむしゃむしゃ食べていました。
でも、年々農地が減って、マンションやおうち、駐車場になっていっているのも確かで、ほんとうにこれ以上減ってほしくない。自分がもし、農業ができるならやりたいくらいなんだけど、農地を持っていないし、そもそも、農業ってほんとうに難しくって、私になんてつとまらない。ご近所にある「世田谷自然農実践倶楽部」にちょっと興味があって飛びこんでみたものの、ひと畝のお世話をすることができず、1年で畝なしの賛助会員になりさがってしまったし、ずっとおつきあいしてる鈴木農園のお手伝いをさせてもらっても、それはちょっとした「お手伝い」で、それを毎日毎日生業とすることは、私にはできないなあと。
鈴木農園さんは、私が、3年前に子ども子育て支援の場の開設に関わった時、毎日子育てで大変なママたちに「ごはんを作ってどうぞする」ということをやりたくて、食材の調達をどうするか、ということを試案していた時に、あめますさんがワンコのお散歩中に仲良くなった農家さんでした。
私より10歳くらい若い彼は、六本木でダーツバーを営んでいたのに、奥さんのお父さんが亡くなって農業を継ぐことを決めた若きチャレンジャー。ダーツを鍬に持ち替えて、日々泥まみれになっているのです。鈴木農園さんに出会って、私は全然知らなかった農業のことをすこしづつ教えていただきました。
子育て支援の場「おでかけひろば」で野菜を仕入れて売っていた時に、たくさん収穫できて売れる時期は5月から8月までと、10月から12月いっぱいという2期でした。一年中、野菜は採れるわけじゃない。でも収穫できる時期には旬のお野菜を思い切りいただきます。そして、そのときの野菜はほんとうに美味しい。
農家にはなれないけど、この農地をできるだけ守りたい。できることはやりたいと思って、イベントの「どうぞのごはん」では世田谷野菜を使ったし、きゅうりが余ったと聞けば、夏の原っぱで、売ったりもしました。
昨年の11月についにケータリングの営業許可をとったんだけど、直後に東急沿線WEBサイトの「とくらく」さんにご注文をいただいて、たまプラーザまで「どうぞのごはん」を持って行きました。
世界は大きく、自分はあまりにも小さく、私のできることはわずかで、届く範囲はものすごく狭い。だから、私は、自分の範囲の中で「どうぞのごはん」をできればと思っていたので、いきなり、たまプラーザに出張ってどうかな、って考えました。でも、話を聞いたら、「だから私のどうぞのごはんを呼んでくれた」というのがわかったので行きました。記事を読んでくだされば、きっとわかると思います。(その時の記事はこちら)たまプラーザで「どうぞのごはん」を出した時は、みなさんの前で「どうぞのごはんのきもち」もはなさせてもらえて、嬉しかったです。いろんな人がその人の周りで「どうぞのごはん」をやってくれたらいいなあと思っています。(きっとたまプラーザの周辺にも農地はあるに違いないし。)
農地は、引き継がれていく間に、そこで農業を営んでいくことができなければ無くなっていきます。私のできることは何もないけれど、「どうぞのごはん」で世田谷の野菜をたくさん使いたいと思っています。そして、自分たちのすぐ近くに生産農地があることを素敵だと思ってくれて、そのことを支えてくれる人がひとりでも増えたらいいなと思います。
「知っている(愛しく思っている)子どもの声はうるさいと感じない」と同じように「知っている(いいなと思っている)人のつくったものは美味しい」。レストランのシェフみたいに美味しくおしゃれには作れないけど、ふつうの近所のおばちゃんが作る「どうぞのごはん」を美味しいと思ってくれる人は、たぶん、その魔法にかかっている部分も多いのではないかなあと思います。
もう時期を過ぎてしまいましたが、鈴木農園の里芋は、世田谷区の品評会でいつも賞をとっている里芋です。私のどうぞのごはんの里芋はだいたい鈴木農園のもの。
次に食べられるのはしばらく先ですが・・。
■里芋の煮っころがしレシピ■
・里芋は、泥を落として軽く洗い、皮をむいてそれぞれが同じ大きさくらいになるように切ってから、洗います。
・一度、竹串が通るくらいまで煮ます。(吹きこぼれやすいので気を付けて)
・竹串が通るくらいになったら、一度ざるにあげ、鍋をきれいにしてから、味付けします。
・味付けはだし汁(こんぶ、かつお、鶏肉など)にお酒、おしょうゆ、みりん、お砂糖、塩などお好みで。軽く煮た後おいておくと、味が浸みます。
どうぞのごはん♯20 母のハンバーグ
http://futakoloco.com/column/murakami/4490/
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