「Most Likely To Succeed」① これからの子育てと教育を考える映画上映会:参加レポート

 会場を見渡すとママさんたちに交じって、わが子をあやしながらスマホを見つめるパパ、教育関係者風の大人、小・中学生のグループ、パソコンを打つビジネスマン、家族連れや赤ちゃんも確認できます。

 3月21日(春分の日)のカタリストBA二子玉川には、今こそ教育を考えようと強い思いを持った人たちが集結。ここで行われたのは、米国の教育ドキュメンタリー映画「Most Likely To Succeed」の鑑賞と、これからの子育てと教育を考えるワークショップの2部構成による3時間のイベントです。主催は、「母親のための発見と成長の場」というスローガンで活動するマザークエスト。ご自身も世田谷区民という中曽根陽子代表は、具体的な教育ビジョンが打ち出されている世田谷の、この地域のママたちにもぜひ認知してほしいという思いもあり、二子玉川で開催したと話します。

 さて、参加された皆さんは、この日どんな気づきを持ち帰られたのでしょう。フタコロコより、当日のレポートを3回シリーズでお届けします。Part①では、この日の学びの題材「映画上映」の模様をお伝えしますね😊

フライヤー
AI時代を生き抜く教育について考える

 教育の話題というと、目前に迫るAI(人工知能)時代の社会を生き抜くために、「21世紀型教育」、「STEAM教育」などのキーワードを目にすることが多くなりました。マザークエストは、昨年末(2018年)の12月に「AIと共存する未来 ~AI時代を幸せに生きる子どもたちに、今大事にしたいこと~」というテーマの特別授業を開催しています。AIにできること、できないことはどういうことで、だからこそ未来の仕事がどんな風に変わっていくのか、その時どんな能力が大事になりそうかという話題に発展したそうです。そして、その延長線上にあったのが「Most Likely To Succeed」。大きく変化するこの時代に、より良い社会、未来のためにどんな教育が必要で、私たちは何をすべきか。映画鑑賞後に、様々な属性の参加者同士が映画を題材に、それぞれの思いや考えをシェアするという学びの会のあり方は何だかとても新鮮でした。

「マザークエスト」について語る代表の中曽根さん
「Most Likely To Succeed」ってどんな映画?

 まずは映画鑑賞。「Most Likely to Succeed」 は、人工知能 (AI) やロボットが生活に浸透していく21世紀の子どもたちにとって必要な教育とはどのようなものか?というテーマ。米国カリフォルニア州にある High Tech High という特別公立校に通う二人の高校1年生の成長を追いながら、受験偏重型教育への疑問、一方で生きる力を身につける実践的教育への完全シフトに揺れる生徒、保護者、教師の姿を描いています。日本と似た状況も多く、教育を取り囲むさまざまな視点、社会について考えさせられる作品です。映画の中に、その答えや結論が導き出されているわけではなく、親や教育者の悩みにふれ、有識者の意見や子どもの変容を受け止めて、私たちの置かれている環境を今後どのように変革していくべきかということを一人ひとりが自分ごととして考え、集まった仲間と意見交換ができる場という役割を果たすために自主上映会という形で開催されている映画です。

「Most Likely To Succeed」の上映風景。音声は英語で日本語の字幕付き
映画の感想のシェア

 映画鑑賞終了後は、隣の人と2人で感想をシェア。皆さんそれぞれに映画と、自身の現状や思いとの接点や違和感を吐き出すように話されていました。私と感想をシェアしてくれた加奈子さんのコメントを紹介しましょう。

「母親と先生の面談シーンで、母親が『もちろん深く考えることを目指す教育がいいことは分かる。でもやっぱり幸せな将来を送ってほしいと思ったら大学にスムーズに行くための教育もしてほしい』と訴え、それに対して先生は、自身の経験に基づいて『バークレーで自分は数学を学んだけれど、結局は社会に出てから苦労をした。勉強はそれだけじゃない』と語ります。母親は『でもあなたはちゃんとバークレーに行ったからこそいい会社に行けたんじゃない。大学に行かないと将来の選択枝が狭まるんですよ』というやりとり。制作者がこのシーンをあえて残したのは、視聴者に問いかけたかったのかなと思ったんですよ……」

 確かに、この映画は視聴者への問いかけという意図を持ってつくられたのでしょう。制作側の思いはもちろん伝えつつも、それだけじゃない、別の価値観や考え方、反論も許容することで、未来の社会において最も成功に近い人のあり方って何なのか? そのために必要な教育って何だろうと問いかけていたように思います。加奈子さんは、それを象徴するシーンを自身の思いと照らしてコメントしてくださったのではないでしょうか。

★その他の感想(アンケートより抜粋)
  • 未来の教育の解とまで言えないものの、教育とは何のためにするのかを再考するいい機会となった
  • 子どもたちが自ら学ぶように変化していき、やり遂げたり失敗をしたりして、そこからさらに学ぶ姿が印象に残った
  • 生徒が人間として成長しているのはもちろんだが、保護者の現実的な不安とその解消のために、教師が対話の時間を割いている。これにより、保護者の視点も変わっていった
  • 自ら課題を見つけて学習する時の探求力と子どもの目の輝きが印象的だった。
◆取材者より◆

 当日参加された皆さんは、属性こそ多様でしたが発言される内容から、教育に関する知識が豊富で、高い意識を持たれているという印象を受けました。一方で、この映画に登場する生徒たちは、米国で学力的にも経済的にも中間層に位置づけられていたようで、その辺りを参加者の皆さんはどう消化されたのか、もう少し掘り下げて伺ってみたかったな~と思いました。私自身は、さらに世界各地で試みられているであろうたくさんの「Most Likely To Succeed」事例を海外で自分に目で確かめてみたいという思いが芽生え、ワクワクしてきました😊

Part②の予告:“成功”って何だろう

 私も含め、少し前の世代では「成功」というとステレオタイプに「社会的地位」や「年収」などが頭によぎるものでしたが、未来志向で考える「成功」とは? Part②では、参加者同士でとことん考え語り合うワークショップの模様をお伝えしま~す(^^♪

Part②では、各々が「成功とは」そのために「必要な力」について考えました

この記事を書いた人

牟田由喜子

牟田由喜子

瀬田に移り住んで約20年。とはいえ二子の魅力をしみじみ感じだしたのはここ数年。『地域でいろんな世代が集う場づくりプロジェクト』でサイエンス・ワークショップをやらせてもらったり、ぬくぬくハウスサテライトで展開中の『アート&サイエンス&読み聞かせ』のワークショップではサイエンス部門を担当。要は、地域の魅力をサイエンティックな視点で愛でつつ、みんなで楽しく語り合いたいんです(^^♪
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