タケノコの季節になりました。二子玉川駅方面から、成城学園駅方面の多摩川、野川、丸子川、仙川と川に沿っている地域には、ずっと以前からお住まいの方もたくさんいて、地主さんで農地を持っている農家さんも多いです。竹林も多く、この季節になると露天の野菜売り場でもタケノコがでますが、地域の中で子ども達と遊ぶ活動などをしていると、持って行っていいよ~と1本2本提供してくださる方もいますし、イベントで使うとなれば、朝6時に行って掘らせていただいたりも・・・。それで、シーズンを迎えると新鮮なタケノコをゲットできるので、手に入れたらすぐに糠でゆがいてあく抜きをして、お水につけて保存、しばらくはことあるごとにタケノコご飯のおにぎりを握ります。
そんな季節に、熊本で地震がありました。2016年4月14日。
私の実家は大分なのだけど、大分市内の海近く、大分川のそばのマンションで、今は亡き父が地質を専門にしていて耐震には気を使っていたからか、まったくといっていいほど被害はありませんでした。湯布院や、山の方は被害が大きかったようですが。それで、申し訳ないようですが、地震が起こった時は母の無事を確認して、気持ちはやや他人事だったと思います。
ところが、その後、身近な友だちの当時大学生だったお子さんの安否がわからなくなり、現地に向かうその人と仕事を交代することになりました。そして、翌日の公園での作業中にその子が亡くなっていたことがわかりました。
身内が亡くなってしまった人にどうしたら自分が対応できるのか、いつもわからなかったし、正直いまでもわかりません。確かに自分も悲しいのだけれど、その人の悲しみは大きすぎて、決して私なんかが寄り添うことはできない、と思うからです。何をしても、何を言ってもそれは、その人の悲しみや辛さには届かないだろうと思うからです。
その時もそうでした。(たぶん今もそうです)どうしていいのかわからなくて、なんと声をかけていいのかもわからなくて。仕方がないので、タケノコごはんをおにぎりにしました。その人には、亡くなったお子さんの他にもお子さんがいたし、みんなごはんを食べないといけない、と思ったからです。
そのくらいしか私にできることはないと思ったので、タケノコご飯を炊いて、おにぎりを握りました。お葬式の朝におにぎりをたくさん握って持って行きました。
ひと月くらいして、「あの時はタケノコご飯のおにぎりをありがとう」と言われました。まだまだつらいときだったろうし、(もちろん、今だって、まだまだ悲しいに違いないけど。)でも、お嬢さんが、全然食べてなかったのに、おいしい、って食べたのよね、ありがとう、って言ってくれたのです。
辛くても、悲しくても、お腹はすくし、ごはんは食べなくちゃいけない。生きるって大変だと思います。それでも、みんな毎日生きるのです。「とにかく生きのびて」と私が思うのはそんなときです。だれの思いも決してわかることはできない。それでも、生きのびて、と願います。
タケノコの季節がきて、タケノコご飯のおにぎりを握るたびに、私はこの熊本地震が起こった時のことを思い出すと思います。辛いのに「ありがとう、」といってくれた人のことを思うと思います。
そして、だれも悲しい思いをしないでいいように、とそっと願います。
タケノコご飯レシピ
■タケノコは掘ってすぐ、糠といっしょにゆがきます。
■串が通るくらい柔らかくなったらお鍋にふたをして、冷めるまで放置
■糠を洗い流して、お水につけて保存
■タケノコご飯にするには、ゆでたタケノコを適当に薄く切って米、調味料と一緒に炊飯器で炊き上げます。
■お米3合に、お酒大匙2・お醤油大匙2・みりん小匙2・塩少々の調味料を加え、適当な大きさのこんぶを入れます。
■炊き上がって混ぜてから、足りないな~と思ったら少し塩を調整します。
※油揚げやニンジンを一緒にいれて炊いてもおいしいよ。
どうぞのごはん♯8 りんごケーキ
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