6月なのに灼熱の1日だった25日土曜日の夕方、会場となる「オーキッド ミュージックサロン」の前で編集長のコバナオと待ち合わせ。
なんと、私は、2010年にできたというこの「複合芸術施設」の存在を全く知りませんでした。
自転車で行けるところにこんなホールがあるなんて。
「クラシック演奏用に設計されたサロン」でのウクライナの歌姫ナターシャ・グジーさんのチャリティコンサート、主催は、ロイヤル介護入居相談室の地元、世田谷二子玉川ライズ店。地元のまちメディアfutakolocoを応援くださっていて、私もご招待いただきました。
ご招待のみなさんで80席の会場はいっぱい。
「歌姫」という呼び名がしっくりくるナターシャさん。美しい・・。
日本に住んで20年というナターシャさんの語り口は軽妙で、流ちょうな日本語で時に客席を笑顔にしながら、すばらしい歌声とお話を聴かせてくださいました。
最初に、ウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」を紹介。こちらもまた、美しい・・。
「チェンバロに似た楽器だと思います。軽そうですが、8㎏あって、私は少しチカラモチになりました」と本当に華奢な片手でバンドゥーラを持ち上げて見せ、会場を笑顔にしていました。
ナターシャさんは、今、戦場となっているウクライナ出身というだけでなく、6歳の時にチェルノブイリ原発から3.5キロの場所で家族とともに被ばく。その3日後に「何も持たずに出て」以来、自分の暮らしていたその場所に「帰れていない」ことを静かに語ってくださいました。
「30年以上経った今も、まだ終わっていないのです」と。
「人は忘れることで過ちを繰り返すします。過ちを繰り返さないよう、忘れることがないよう、私は音楽を続けています。」
そう語ったあと、「いつも何度でも」「防人の詩」を続けて歌ってくださり、私は涙がとまりませんでした。マスクがぐちゃぐちゃになってしまって、予備を出してつけかえました。
コンサートの最後の歌「鳥の歌」。「平和の祈りをこめて」と、歌われたその歌には歌詞がほとんどなく、ナターシャさんは、平和を歌う鳥の化身なのかもしれないな、と思いました。
アンコールに応えて歌ってくださったのは、アカペラで「アメージンググレイス」。
こういった場面で歌う日本の歌は何かな、「ふるさと」かな、と考えながら聴いていたら、なんと最後の最後に「ふるさと」を歌ってくださいました。
会場からも歌声が聴こえてきました。アンコールも含めると全部で11曲。90分のコンサートは、昼間の灼熱や喧噪から逃れ、とても貴重な、なんだか透き通った時間でした。
コンサートが終わり、ギャラリーでは、多くの方がナターシャさんのCDをお求めになり、ナターシャさんはサインをされていました。チャリティの募金箱にもたくさんの募金がされていたようです。支援金はウクライナ人道支援団体へ寄付されるとのこと。
ふるさとを離れ、異国の言葉を学び、自身の体験を語り、音楽を続けていくナターシャさん。
自分が暮らしているまちの、ささやかだけれど素晴らしい音楽サロンでお会いできたこと心から感謝しました。
すばらしい時間をありがとうございました。私は、忘れません。
- 名称
- 「オーキッド ミュージックサロン」
- 所在地
- 東京都世田谷区玉川2-2-1 二子玉川ライズ バーズモールB1