多摩川で花火師有志による「希望の花火」今年も

 川崎市内在住花火師の有志が7月23日、多摩川河川敷で「希望の花火」を打ち上げた。地域を元気づけようと2020年から行われており今回で3回目。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、毎年60万人以上の人でにぎわう「たまがわ花火大会」(世田谷区主催、代替イベントの開催予定・詳細未発表)と同時開催「多摩川花火大会」(川崎市主催)は、今年も3年連続で中止が決まっているなか、「近隣住民の皆さんが少しでも上を向ける希望を届けたい」と、有志での実施に踏み切った。

 川崎市内の掲示板に事前に掲出された案内では、開催目的に「悪疫退散や鎮魂といった日本古来の花火伝統文化の継承」「花火消費技術の育成」「花火ファンの拡大と、花火に対する正しい知識の浸透」の3つを掲げ、感染予防のため自宅からの観覧を推奨し、打ち上げ場所の公表もしないという対策をとった。

街の掲示板に貼り出された開催案内

 当日は19時30分ごろから30分、打ち上げ花火が多摩川の夜空を彩った。

 開催を事前に知っていた人たちが19時ごろから多摩川周辺に少しずつ集まったが、河川敷に降りる人は多くはなく、両沿岸の歩道などに広範囲に適度な間隔で人々が並ぶ様子が見られた。また、街中から上空を見上げて観覧した人もいた。観覧する人々はファミリーからカップルまで多様で、夫婦で犬の散歩のついでに見たという女性は「騒いでるような集団はいなかった。終了と同時に人は捌けて、警備などは無くてもみなさん自律的に行動していた」と話した。

 開催を知らずに夏の夜の水辺で涼んでいた人々にとってはまさにうれしいサプライズとなったようだ。「これくらいの規模でちょうどいい」 「地域の住民にとってはありがたいイベント。毎年継続的にやられていて頭が下がります」という声のほか、「久しぶりの火薬の匂いに夏を感じた」という声も。

 また、世田谷区で近隣在住という男性は「花火に関わる文化や技術の伝承は非常に大切であると思うし、一方でこれまでのような、大規模なイベント集客型のあり方が適さないことも理解できる。このような状況において、屋外で多くの人が密になりにくく、かつ、いろいろな場所から誰でも見ることができる河川敷という場所で開催してくれた有志の方々に心からお礼を申し上げたい。今後の継続について、クラウドファンディングなど、地域による財政的支援などできればいいと思う」と話していた。

 

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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