【二子玉川 水辺まちづくりレポート】2026年 「玉川陸閘(りっこう)」閉鎖訓練 点検と保守の重要性

かわのまち・二子玉川で地域の安全を守っている多摩川旧堤防と「陸閘(りっこう)」。梅雨・台風期を前に、毎年堤防機能の点検と発災時の備えを目的として陸閘の閉鎖訓練が行われています。二子玉川ならではの防災活動の様子を、今年も現地で取材しました。

普段なかなか目にすることのない、地域の安心と安全を支える毎年恒例の訓練です。今年は、新たに支給された資材に不具合が見つかり、東陸閘の閉鎖作業を完了できませんでした。一方、実際の出水時に使用する前に問題を発見し、対応につなげられたことから、点検と保守を兼ねた実地訓練の重要性が改めて確認されました。

どのような訓練が行われ、何が明らかになったのか。その記録をお伝えします。

大正時代から地域の暮らしと生業を守ってきた「多摩川旧堤防」

多摩川の旧堤防と玉川陸閘(西陸閘・東陸閘)は、1914年の大洪水をきっかけに行われた国の多摩川改修工事の一環として作られたものです。当時は多摩川を望む料亭などが水辺に立地していたことから、堤防と川の間に料亭や田畑を残す形となりました。堤防内外を行き来する動線として堤防の一部が切断されたところが陸閘で、大正7年(1918年)に工事が始まり、昭和8年(1933年)に完成しました。93年経った現在でも、出水時にはここを閉鎖してまちを守る機能を担っています。(過去の関連記事はこちら)。

毎年、出水期前の5月に閉鎖訓練を行い、閉鎖に必要な材料等の点検とともに、設置から撤去までの作業フローと所要時間が確認されています。この訓練は世田谷区土木部が実施し、堤防施設を所管する国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所へ結果が報告されます。

新たに支給された支柱に不具合、東陸閘の訓練は中止

5月28日、薄曇りながら非常に蒸し暑い天候の中、玉川陸閘の閉鎖訓練が9時30分から始まりました。多摩堤通りの交通規制を行わずに実施したことから、交通誘導を含めて世田谷区職員で行い、玉川警察署からの出動はありませんでした。

訓練は東陸閘から西陸閘へと順次行われ、橋詰貴志土木部工事第ニ課長が指揮を取りました。

道路の開口部が広い東陸閘では、中央に支柱を立て、横柱を渡して閉鎖します。しかし、今回新たに国土交通省から支給された支柱は切り込みのサイズがこれまでのものとわずかに異なり、横柱を所定の位置に設置できないことが判明しました。このため閉鎖作業を完了できず、東陸閘の訓練は途中で中止となりました。

その後、速やかに状況を確認し国土交通省へ報告しました。その結果、国土交通省による調整が完了するまでは、昨年まで使用していた支柱で対応することが決まったそうです。

西陸閘は閉鎖・開放作業を完了

続いて行われた西陸閘の訓練では、職員の連係により閉鎖と開放の作業が完了しました。所要時間は、昨年とほぼ同じでした。

  • 西陸閘閉鎖作業時間
    • 閉鎖:4分32秒(昨年 4分13秒)
    • 開放:4分21秒(昨年 4分00秒)

実地訓練で出水前に不具合を把握

実際の出水時に陸閘を閉鎖する際は、堤外にいるすべての人々が水平避難または垂直避難を終えたことを確認してから作業を行います。

今回、東陸閘の閉鎖訓練は完遂できませんでした。しかし、実際の出水時ではなく、事前の訓練で支柱の不具合を確認できたことには大きな意味があります。資材を保管しているだけではわからない問題を実際の作業によって発見し、対応につなげることも、閉鎖訓練の重要な役割です。

水防は、土木施設を維持管理する国と自治体である世田谷区との連係によって支えられています。同時に、地域の事情に応じた避難行動について理解し、住民一人ひとりが日頃から確認しておく必要性も改めて感じました。

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futakolocoでは、かわのまち・二子玉川の安全な暮らしのためにこれまでも水辺に関するさまざまな防災活動について現場を取材し、その情報を地域へ向けて発信してきました。

多摩川旧堤防(玉川陸閘)閉鎖訓練については、過去数年にわたるレポートを公開しています。タイムラプスで作業全体を視聴することができますので、ぜひご覧ください。

名称
玉川陸閘(りっこう)
所在地
世田谷区玉川1-8付近

この記事を書いた人

チームうならぼ

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー。 自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信していきます。