どうぞのごはん♯30 里芋の親芋の煮物~かわべ農園~ ①百合子さんとの出会いとちょいまち会

晴れた秋の日に、二子玉川駅にほど近い「かわべ農園」で里芋堀りのお手伝いをしました。今回の連載コラム「どうぞのごはん」ではこのことについて3回に分けて書きます。

「かわべ農園」にて、かわべのお父さんと里芋

私が住んでいる東急田園都市線の二子玉川駅と小田急線の成城学園前駅の間の国分寺崖線と多摩川に挟まれた地域は、東京都内でありながら、ちょっとした地方よりたくさん畑があります。そして、街かどには、無人の野菜販売スタンドもたくさんあります。でも、私がここにきてからの30年くらいの間だけでも、畑も、野菜スタンドもどんどんなくなっていっています。

【フォトレポート】せたがや農産物直売所 【フォトレポート】野菜スタンドにエダマメ

今年の3月末、児童館のお隣にあった「鎌田自然農園」(せたがや自然農実践倶楽部)も閉園し、今はマンションを建てるべく工事中。ここは、丸子川、仙川、が近く、小学校、中学校、児童館、公園もあって、ほんとうに子ども達の育つ環境としてもいい地域だし、ここに移住してくれる人(私も移住してきた一人だし)がたくさんいてくれることは、確かにいいことだと思う反面、畑がどんどんなくなっていくことは、残念でもあります。

鎌田自然農園だったところは現在工事中

畑がなくなっていくのには、いろいろな理由があると思いますが、相続の時に、税金を支払うためや、親族でその価値を分けるためというのが多いような気がします。手放したくなくても、農業を続ける人がいなければ続けられませんし、何人かで分ける時には、お金に換えないといけないということも起こってくるでしょう。私たちのまちは、とても素敵な地域なので、農地だった広い土地は結構なお値段がするのだと思います。そういう土地は、大きな企業が買って、みんなが買えるようにマンションや、土地をいくつかにわけて家を何軒か建てたりします。私がここに住みついたように、ここに移り住みたい人もたくさんいてくれるのだろうから、おうちが増えて、仲間が増えるのはうれしいことだけど、農地が減っていくのは、なんだかとても悲しいです。(どうしてでしょうね。)

 

野菜がならばなくなった大蔵の野菜スタンド

他にも農地が減っていく理由に、道路計画があります。大蔵に、アトリエを借りてから、2年かな。アトリエを借りたとき、大蔵には畑があって、おじさんとおねーさんがお世話して、勇気野菜スタンドで売ったり、タガヤセ大蔵の野菜チームとイベントをやったりしていました。

7月に最後の収穫をした。

私も、大蔵にアトリエを引っ越してからずっと、「どうぞのごはん」の食材を分けてもらったり、一緒にダイズを植えるのを手伝ってもらったり(なくなる畑から土をもらって、子ども達やお母さんたちと大豆を植えた)、白菜(岐阜の郡上に留学させた白菜の苗の一部)を植えてもらったりさせてもらっています。でも大蔵の畑の大部分は、今年の7月に道路計画でなくなってしまいました。

まだまだ道路はできなさそうだけど。

大蔵の畑の土をみんなで運んで大豆畑にした(6月)
野菜を植えられなくなった大蔵の畑。道路になることになっている

さて、話もどって「かわべ農園」。ここの農園のお野菜は、80歳を過ぎたお父さんがつくっているのですが、きりもりしているのは、娘さんの百合子さん。百合子さんとの出会いを思い起こしてみたら、2015年の11月に「二子玉川100年懇話会」が実施した「ちょいまち会」という取り組みの時でした。この会は、futakolocoも所属している玉川町会を中心とした二子玉川のさまざまな組織、企業や団体が集まる会議体です。2ヶ月に1度集まって、行政や学校、PTAも一緒に情報を交換して100年先の二子玉川の未来を考えるのだそうです。

2015年12月15日のちょいまち会の報告会にて発表中

その会のプロジェクトの一つとして行われた「ちょいまち会」は、「二子玉川のまちづくり活動にちょっと参加してみよう」がテーマでした。私はまちで活動している一人として運営メンバーとして参加、百合子さんは「これから参加してみたい人」として出会いました。このプロジェクトは2015年度から2016年度にかけて行われ、一日限りのイベントではなく1年を通じてまちで行われているさまざまな行事や活動に実際に参加してみて、自分たちがこれからいったい何ができるのかを考え、実行しよう、というなかなか画期的な会でした。

ちょいまち会では、カレーライスを「どうぞのごはん」させてもらいました。エプロンつけてる間に配膳が始まってた!

机を囲んで、「こうだったらいいね、」といいいあうことを繰り返しても、なかなか実現できないことのほうが多いような気がします。実際にまちに出て、知り、体験し、感じること、試しでいいから「やってみること」が、なにかしらの「実現」につながるのでは、と私は思ってやってきているのだけど、ちょいまち会は、その「実際の活動の現場で体験してみる」ということに重点をおいていました。だからこそこうして、その時に出会った百合子さんと新しいプロジェクトが実現にむかって進んでいるのだと思います。

2016年3月30日のちょいまち会実習報告会の集合写真。ここに私と百合子さんがいます。

出会いから、3年。百合子さんとは、瀬田四丁目旧小坂緑地のイベントや、大蔵のお母さんたちとの和菓子の会、多摩川河川敷の兵庫島公園で開催された二子玉川水辺大茶会など、いろいろなことをいっしょにやることになりました。そんななかで、「かわべ農園」が、道路のない飛び地の畑として残っていること、水がなく、お父さんが水を汲んできて畑を続けていること、野菜づくりはお父さんの生きがいであることなど、を知ったのでした。(どうぞのごはん♯30 里芋の親芋の煮物~かわべ農園~②「あそぶ つくる たべる つながる まち家族化計画」 につづく)

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この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で子どものアトリエを始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」に引っ越し「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開中。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク事務局。