どうぞのごはん♯39 みんなの畑・かわべ農園 アースオーブンで焼く「しあわせのピザ」

 12月を迎え、もうすぐ2020年。今年は、なんだか週末に台風や雨が多かった気がします。外での活動が多い私たちには中止か、開催かの判断に翻弄された一年でした。そんな中、12月7日に開催を予定していた「みんなの畑・かわべ農園」のピザパーティーを、急遽、8日に開催しました。来られなくなった方もいましたが、逆にその日になって参加できた方もいて、結果、あたたかな日差しの中、楽しい一日になりました。冬の外のイベントには、火と暖かい美味しい食べ物が特に大切です。

みんなの畑・かわべ農園は、二子玉川駅から歩いて10分くらい。東京都立世田谷総合高校のすぐ近くにあります、

 子どもたちはともかく、大人にとって「寒い」というのは、ツライ思い出になりやすい。けれど、子どもたちにとって、とても大切な自然の中でのあそび。今、話題の非認知能力を伸ばし、生きる力をつけるためにも、「外遊び」は大変重要な体験と言われています。けれど、実際、大人が喜んで参加してくれる外遊びの場がないと、子どもたちはそのチャンスに巡り合えない。だから、私はいつも、大人が楽しく、子どもが自由にあそべる場、をどうしたら作れるか、を考えます。

畑のみんなでの活動はだいたい1か月に1回。その日の畑の様子で、お手伝いできることをさせていただきます。12月は、垣根のカットを中心に。子どもたちは畑のシゴトが大好き。なんでもおもしろいあそびなのです。

 さて、そんな大人が楽しく子どもが自由にあそべる場のひとつになれたのではと思う「みんなの畑・かわべ農園」。ここでの活動のはじまりについて「どうぞのごはん」では3回にわたって書いていました。2018年の暮れのことです。
どうぞのごはん♯30 里芋の親芋の煮物~かわべ農園~ ①百合子さんとの出会いとちょいまち会 (③まであります)

 このあと、2018年11月18日に井戸を掘り始め、その日に水が出て、24日、28日と3日間でポンプ設置まで行いました。井戸が誕生してから、1年になるわけです。その井戸造りのことは、娘の優が、2019年2月17日の「多摩川子どもシンポジウムin世田谷」でパワーポイントにまとめたものを発表しました。

 発表のPDFはこちら→いどほり

 私の父は地質の専門家で、「日本は、どこだって掘れば水や温泉が出る」と言っていましたし、実際に井戸をあちこち掘っていたのですが、私自身が「穴を掘って水が出る」体験をしたのは初めてでした。なんでしょう、「出るんだろう」とは思っていましたが、実際にそれを体験した時の感情というのは不思議なものでした。特に信仰心はありませんが、「自然」というもの、「土」や「水」に対しての畏怖の念のようなものを感じました。簡単にいえば、「すごいな自然」という感動でした。「まいりました、かなわない、ありがとうございます」というきもち。そして、「みんなでやったぞ!」という達成感。

1年ほど前、井戸ができました。(最初の水を井戸を漕ぐかわべ農園のおとうさん)

 さて、この井戸掘りの時に粘土がたくさんでました。それで、これでカマドを作りたいね、という話がでたものの、特に具体化されぬまま、年が明けました。でも、この、シンポジウムで優が発表したことで、急にオーブンの建設が進展したのです。シンポジウムに参加してくださった法政大学の神谷先生が、優の発表を聞いて声をかけてくださいました。なんと、神谷先生は、ご自宅の庭にアースオーブンをご自分で造り、児童館などで、ワークショップでオーブン造りをしているという。その後、神谷先生にご協力いただき、優をリーダーとしてアースオーブン造りが行われました。

井戸を掘るときに出てきた粘土と少量のセメントなどを混ぜます
みんなで作ったどろだんごを前に、かわべ農園のおとうさん、百合子さんに説明をする神谷先生
水辺の仲間のひとり、狛江の「小林造園」のコリンさんに参加をお願いして、本職に左官を教えてもらいました。
細かい補修なども加えて完成した時のアースオーブン。2019年6月ごろ。

せたがや水辺の楽校の6月1日のブログでも、オーブン製作の様子が読めます

 オーブンができてからは、かわべ農園の活動の日は、「お父さんに聞いて、畑仕事を手伝」い、「ピザを焼いてみんなで食べ」ています。いつでも、何をやるときも、「自分のできることを、できるだけやる」のが基本です。

いくつかのシゴトの中で「自分ができること」を大人も、子どももみんなでやります。

オーブンの最初の「火入れ」はせたがや水辺の楽校の6月10日のブログで読めます

 ピザ生地や、トッピングは持ち寄りで、ドネーション(寄付)を集めます。回を重ねるごとに「火の番」「ピザ作り」「畑仕事」「虫取り」など、それぞれに得意なこともわかってきます。毎回来る人は違いますが、いつもとても楽しいです。

持ち寄った材料でピザ作り。「僕の、僕の」と言っていた子もだんだんみんなの分も作ってくれるようになります。

アースオーブンのいいところは、楽なこと。朝、お弁当を作らなくてもいいし、片付ける時は、蓋を閉めてしまえば火は消える。5月なのに灼熱の中、協力してアースオーブンを作ってくれたみなさんには本当に感謝です。ありがとう。

最近使い込まれてきたアースオーブン。暖かくなったら、また少しづつ手を加えていきたいな

  私は、自分を幸せな気分にしてくれる自然の中での「どうぞのごはん」で、みんなも幸せなきもちになってくれたらいいなあ、といつも思います。子どもたちは、自然の中で、駆け回り、歌い、笑います。その光景を眺めながら暖かい火を囲んで美味しいものを食べているとき、ほんとうに幸せなきもちになります。嘘だと思ったら、来てみてください。

畑の片隅でギターを弾き始めたレナトの周りに子どもたちが集まります。
オーブンの周りで大人たちが真剣な表情でちょっと真面目に話したりということもあります。

子どもたちの笑顔とおいしいごはん。これ以上の幸せはないよ。

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▶ピザ生地レシピ(こねやすい量)

・強力粉 250グラム ・塩 小さじ半分くらい ・砂糖 小さじ1杯くらい

・乾燥酵母、ドライイースト 2グラムくらい(小さじ軽く1杯)

・オイル 大さじ1杯 ・40度ぐらいのお湯 150CC(カップ3分の2)

▶ピザ生地は、だいたい適当でできます。粉類を混ぜて、お湯にオイルを混ぜて入れ、まとめていきます。(私はこの倍量をホームベーカリーに入れて、コネまでやってもらいます。)

▶朝、生地を作ったらまとめて、タッパ―や、ビニールふくろに入れて、おひさまの当たるところにおいておけば、お昼ごろにはいい感じに発酵しますので、小さく分けて、伸ばせばピザ生地の出来上がり。

▶できたピザ生地に好きなものを載せて焼きます。

・今回のピザパーティーでは、参加の方が時間を計ってくれ、いい感じの焼き上がりまでだいたい2分半でした。

▶生地材料について(参考)

強力粉は国産の「春よ恋」、酵母は「白神こだま酵母ドライ」を使っています。ドライ酵母は、粉にそのまま振り込んでもいいようですが、私はぬるま湯に少し溶かしてから混ぜています。お砂糖は花見糖を使用しています。

私はクワトロ風が好き。ブルーチーズと他チーズを何種類か載せて焼き、焼きあがったらハチミツをたっぷりかけていただきま~す。
オマケ・今回はチームの仲間タイソンの誕生日をみんなでお祝いして最後に記念写真(あれ?若手だけ?!)を撮りました!タイソンオメデトー

名称
みんなの畑・かわべ農園
所在地
世田谷区鎌田3丁目20

この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で子どものアトリエを始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」に引っ越し「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開。2023年、「ゆいまあると3つの磁石」近くに建った家に岡本から転居、「あめます舎」と名付けて家開きしている。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク所属。