どうぞのごはん♯47 はしもと農園~ポテトサラダ~

 東京は、地方から来て住み着いてしまった私みたいな人もたくさんいますが、当然古くから住んでいる方(いわゆる地主さん)もたくさんいらっしゃいます。橋本さんという方もここら辺にはたくさんいらして、はしもと農園もあちこちにあるのですが、みなさん違う橋本さんです・・・。私がおつきあいさせてもらっている農家さんは、かわべ農園さん、すずき農園さん、など何件かあるのですが、はしもと農園もその一つで、きりもりしているのは、ヒロシさん。(橋本姓の方はたくさんいらっしゃるので、この辺ではみんな姓ではなくて名前で呼びます。)

3月はじめにジャガイモの種を植えました。畑の周囲はふつうに住宅。

 説明が長くなりますが、ヒロシさんとはかれこれ、せたがや水辺の楽校と同じくらい、15年以上のお付き合いになります。ヒロシさんは地元の農家さんですが、小学校のすぐ近くにおうちがあり、私がPTAに関わっていた時に「行政相談員」として学校協議会のメンバーをやってくださっていました。PTAの保護者代表として「子どもたちが遊んでいて家に帰る時間がわからないので、区民センターに時計を付けてほしい」とかいった陳情を相談させてもらったこともありました。そのころは、大きなゴールデンリトリバーのゴーちゃんを飼っていて、子どもたちの登下校時間にお散歩をして(見守りも兼ねてだったのだと思います)娘たちには、「ゴーパパ」として知られていました。次女などは、「ママ、ゴーちゃんパパが大根くれた!」と嬉しそうに大きな大根を抱えて学校から帰ってきたこともあります。

新型コロナウィルスの感染拡大防止の緊急事態宣言が出て、学校が休校中だったので、子どもたちも手伝ってくれました。

 最近まで、小学校の授業にもご協力くださっていて、今中学3年のkaiなどは、畑のお手伝いに行ったとき「ボクの手にせたがや育ちのテープを巻いてくれた!」と思い出話をしたり。

5月の初めの週くらい。中3になったkai.せたがや水辺の楽校の緑地整備を手伝ってくれていますが、その帰りにそ、ヒロシさんの畑の雑草抜きも手伝ってもらいました。ヒロシさんと小学校の時のはなしをしながら。

 そんなヒロシさん、世田谷区のふるさとまつりのたちあげのときからの実行委員さん(第一回の時はステージを手作りしたという・・・)なのですが、おととしだったか、同じく実行委員だった中西さんがまつりの件で連絡をしたところ、体調を崩されたとのこと。お元気にはなっているけど、車の運転ができなくなっている。「僕はお手伝いに行きます」と中西さんに言われ、もちろん、私も行きます、と畑仕事のお手伝いに行くようになりました。

一年ちょっと前に書いたコラムにヒロシさんのことを書いています

どうぞのごはん#31生のザーサイとまちづくり

 お手伝いをさせてもらいながら、また困った時には相談させてもいただき、「大豆を植えさせてほしい」とか「幼稚園の芋ほり用のお芋を植えてほしい」だとかお願いしていました。

大豆、抜いといたぞ、と渡されて。これは、ただいま我が家でお味噌に変身中。

 「昨年までジャガイモ掘りをさせてもらっていた農園がなくなってしまった」という大田区の幼稚園さんからの相談(じつは、かわべ農園さんに相談があったのですが、かわべ農園さんにはスペースがもうありませんでした)をいただき、はしもと農園でじゃがいもを植え付けたのですが・・・新型コロナの影響で、お芋掘りは中止に。「お芋掘りには行かれなくなってしまったので、全園児分の120株を掘って届けてほしい」というお申し出を、ヒロシさんに相談。みんなで掘り上げて、私が配達することにしました。

出るわ出るわおいもがゴロゴロ。霧雨が時折降る中のお芋掘り

 こういう時、「畑仕事が好きでお手伝いしてくれそうな人」が私の頭の中にパパパっと浮かびます。天候不安定な毎日で、霧雨が降っていましたが、ぱっと集まってくれた10人くらいだったかな、みなさんのパワーで掘り上げ、無事、120株を幼稚園にお届けできました。とにかく、ヒロシさんも、お手伝いのみなさんも、幼稚園の先生方もみんな笑顔でとっても嬉しかった。

ジャガイモは、掘り起こしてから乾かして、周りの土を手で一個一個落としていきます。

 後日、残りのお芋も掘り上げました。残りのお芋掘りには、私は行けなかったのにも関わらず、前回来てくれた方にお願いしたら、7名くらいお手伝いがあったそうで、無事終了、私は掘り上げて乾いたお芋を車でヒロシさんのお宅まで運びました。

ママたちといっしょにお芋ほりをしてくれるヒロシさん

 「自分で農業はできないけれど、お手伝いをしたい」という人(私もそうです)はいる。どうしてって、土はあたたかく、土に触れること、生きる何かを育てること、収穫をすること、それは、私たちの「生きる」や「暮らし」にとても大切なことで、そこには「希望」があるからじゃないかな。

土をおとした「シンシア」。ヒロシさんの農園は、いろいろな種類のジャガイモを作っています。「インカのめざめ」という名前のお芋もある。インカのめざめ」はサツマイモのように甘い品種です。

 今、この東京で生まれ育つと、なかなかそんな機会はないのかもしれないけど、実際にやってみるとそのことは容易に感じられるはずです。そして、農家さんは「人手が必要な部分を手伝ってもらいたい」。だけど、何年も何年も生業としていろいろな試行錯誤や、苦労を重ねて続けてきた農家さんに、ただ、「土には希望があるから!やりたい!」と押しかけるわけにもいきません。そこの繋がりには、いろいろな偶然とじわじわとしみるような時間が必要かなと思っています。

車に積み込んで運ぶとき、ヒロシさんがぽつりと「中西さんと植えた芋だな」

 そもそもは、中西さんが繋いでくれていたはしもと農園。 中西さんは亡くなってしまいましたが、その繋いでくれたつながりを、大切に紡いでいくことができたらなあ、と思いながら、今日も行きに帰りにヒロシさんの畑とご自宅の前を自転車で通っています。たまたま野菜スタンドの前で作業中のヒロシさんを捕まえて、雑草抜きと30株くらい残っているジャガイモの掘り起こし、それからネギの植え替えとを、お空のご機嫌の伺いながら、どっかでやらないとねえ、とお話。「用事がなくても電話するよ」とのヒロシさんの軽口が嬉しくて、たくさんお野菜を買っちゃいました。もちろん、いつだって、私は手伝います!

お宅のお庭の隅っこにはしもと農園の直売所はあります。これは、ちょっと前の直売所。
児童館の職員さんが書いてくれたというかわいいポップもあります
おいも、たくさん収穫できました!!学校の給食にも使われています。

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紫たまねぎ使用。

ポテトサラダ
玉ねぎはもう終わってしまったところが多いですが、ポテトサラダは、ジャガイモ、玉ねぎ、きゅうり、と、だいたいこのへんの旬の野菜で作れます。

▶ジャガイモを適当に切って茹でます(一緒に卵も茹でます。卵は入れなくてもOK)
▶玉ねぎは薄切りにして水にさらし、キュウリは薄切りにして塩を振っておきます
▶ジャガイモに楊枝などをさしてみて通ったら、水を切ります。卵はお湯からだして剥き、白身は包丁で刻みます。
▶全部水分を切って、おはしで混ぜ合わせます。
▶マヨネーズ、塩、コショウで味付けします。
※マヨネーズが苦手な方は、油50cc+ +豆乳100cc+酢小さじ半分+塩コショウ少々の豆乳マヨネーズを少しづつ混ぜていい味のとこで。(長女がマヨネーズ嫌いなのです・・)
卵なし、豆乳マヨネーズなら、卵アレルギーの方も大丈夫です~♪(次女が小さいとき卵アウトでした・)

オマケ

肥料を撒くわたくし。♪枯れ木に花を咲かせましょう~♪

名称
はしもと農園
所在地
〒157-0076 東京都世田谷区岡本2丁目13

この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で「子どものアトリエ」を始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」という場を開設、「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開。2021年、岡本から玉川4丁目の空き家(通称たまよん)に1年間入居。2023年、「ゆいまあると3つの磁石」近くに建った家に転居、「あめます舎」と名付けて家開きしている。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク所属。