タンポポといえば春の野草の代表格。都心に近い二子玉川にも、春先には様々なタンポポが咲き始めます。草花観察がライフワークの私は、昨年春にfutakoloco 記事にて二子玉川駅周辺で見られるタンポポを紹介しました。
タンポポという植物の特徴を知るだけなら、図鑑や専門家の書籍を読めば大体のことは分かります。でも、それらの文献と実物の生き方を照らして見られる季節は限られます。今回は、その観察の楽しさを誰かと共有したいという想いが募り、4月12日(月)に「たんぽぽツアー」を開催しました。
二子玉川在住の素敵なマダムたちにご参加いただき、このエリアにリアルタイムに咲いているタンポポを周辺の自然を感じながら観察しました。
路傍のタンポポは、ただ黙って咲いているようですが、多くのことを私たちに教えてくれました😊
“たんぽぽ”だけを見つめるツアー?
当日のツアーコースは二子玉川駅前から大井町線沿いに丸子川で折りかえし、多摩川⼟⼿沿いを歩くルート。このエリアで見つけたタンポポを、在来種(ピンク●シール)と雑種(イエロー●シール)、大きく二つに分けて二子玉川“たんぽぽマップ”を作成しました。
タンポポだけを見つめるツアーのようなのですが、気がつくと、ここにこのタンポポが咲いているのはなぜ? どんな昆虫がやってくるの? さっき見たタンポポと何が違う?……。タンポポにまつわるたくさんの「問い」と対峙しながら参加者それぞれが、それぞれの思考を巡らし、観察する様子がうかがえました。
タンポポの見分け方
タンポポ王国と呼ばれるほど、日本では多様な種(亜種も含めると30種類ほど)のタンポポが見られます。今回はその中で、雑種(在来種と外来種との交雑)と在来種、大きく二つに分けて観察しました。見分け方のポイントは、花を包む総苞(そうほう)の下部がバラバラと下を向いているのが雑種で、キュッと上を向いているのが在来種。
種名を厳密に同定するには遺伝子解析が必要です。
小花が集まって一つの花に見える!
タンポポはヒマワリやコスモス同様キク科の植物。小花がたくさん集まることで丸い一つの花に見えます。この集まりを頭花(とうか)と呼びます。花粉や蜜を求めてやってくる昆虫たちも、一つの花と認識して集まってくるのかも知れません。小花一つひとつに、花びら、おしめ、めしべ、萼(がく)の花のつくりの基本がちゃんとあります。一つの小花を取り出してみると下の方にふわふわした糸のような部分があって、これが萼。なんと、この萼は花が咲き終わって種子になるときに綿毛(冠毛)になります。
触って初めてわかること
おそらく左の花が開花2日目で右が3日目。動画の中で参加者が「固い!」とつぶやいています。左の頭花の中心を触った時に、次の日に咲く新しい花びらが準備されていて、それが固かったのでしょう。右の頭花は全部咲き切った開花3日目のタンポポと思われ、固い部分がありません。タンポポは夕方頭花を閉じますが、翌朝また開き、開花期間は3日ほど。この日、参加者のお一人が花びらを触って固さを発見したことで、タンポポの開花期間をみんなで学び合うことができました。
二つに分けて観察する意味
ツアー最初に、在来種と雑種と大きく二つに分けて二子玉川のタンポポを観察しようと伝えましたが、実際に観察を進めると、そう簡単に真っ二つに分けられないことに気づきます。「二子玉川のタンポポを二元論で説明できるのか?」などと言い出すと少し大げさになりますが、ピンクなのかイエローなのか、きっぱり分けられないようなタンポポに遭遇して、モヤモヤする工程があってもいいのかな? という想定の元「気になるタンポポ」というブルー●シールを準備しました。
案の定、参加者の方々とその場でモヤモヤと対話する時間はとっても有意義でした(^^♪
参考文献 タンポポハンドブック(2017)保谷彰彦著(著) 文一総合出版 わたしのタンポポ研究(2015)保谷彰彦著(著) さ・え・ら書房 日本のタンポポとセイヨウタンポポ(2013)小川潔(著) 復刻どうぶつ社 保谷彰彦氏の記事 https://buna.info/article/3704/ 二子玉川は多様なタンポポ咲くところ: わがまちサイエンティフィック探索記2020 https://futakoloco.com/15138/