どうぞのごはん♯36 同じようでいて同じじゃない日々の「無限ナスのみそ炒め」

 9月になったと思ったら、ものすごい台風。いまだ停電から復旧していない地域もあるようですが、近隣でも木が折れたり、畑の支柱やマルチが飛ばされたりしました。その暴風雨が吹き荒れていた朝方「すごい風・・・」と娘が私が寝ている部屋へ。怖いからママと一緒に寝ようかと思ってきたそうですが、来てみたら狭いのでまた自分のベッドへ戻りました。娘は、私が彼女を産んだ歳になっています。もう小さい優ちゃんではないんだね。娘が5年半のアメリカ生活からうちへ戻ってきたのが昨年の11月。私と同居中のミキとの生活に娘が加わり10か月、いろいろと気づかされることも多く、それはまだ毎日続いています。

ポートランドさんぽ(娘がいたポートランドに2017年に遊びに行った時のことをかいています)

我が家のベランダに鎮座したコンポストちゃん(2018年12月)

彼女が帰国後に自分が暮らす街で最初にやったことは、「コンポスト」を作ることでした。

コンポストとは、生ごみを土に返す「箱」です。「ママ、段ボールでコンポスト作れるんだよ!」と我が家のベランダにひとつ、私が大蔵5丁目(二子玉川と成城学園のあいだくらい)に借りている子どものアトリエやごはんを作っているお部屋「ゆいまあると3つの磁石」の大家さんの実家にひとつ。(大家さんの実家のコンポストは、そこをシェアしている人たちと一緒につくりました)

自分の卒業した小学校の飼育小屋から、コンポスト作製のため壊れたカブトムシの飼育箱を運び出す娘(飼育箱は砧南グリーンズから譲り受けました)

作ったはいいのですが、ベランダコンポストのお世話はもっぱら料理とお掃除をする私。生ごみはどんどん出て溜まり、蓋をあけるとコバエが飛び出す・・。「ほんとうに土になるのか?」においこそあまりしませんでしたが、分解はなかなか進みません。(分解していない生ごみの山は写真を撮る気にもならず)

大家さんの実家でのコンポストプロジェクト大成功で、はい、ポーズ。(写真提供::Kentaro Kubo右端)

嫌になってしばらく放置していたのですが、6月のある日、久しぶりに開けてみたら、なんとあの大量の生ごみが土になっていたのです。半年かかりました。でも、あの、生ごみたちが土に還っていたという事実は感動でした。生きものはみんな土から生まれたんだ。

ただの生ごみ入れになっていたのに、いつの間にか土のほうが多くなっていた。感動。現在のコンポストの様子

もうひとつのコンポストは、「ゆいまあると3つの磁石」の大家さんの実家に作ったのですが、そのお借りしているアパートの1室がこの9月で丸3年ということで、契約の更新をすることに。はんこを押しながら、大家さんの「出会ってなかったらどうなってたろうね」の言葉に、考えたことなかったけど、そんなことばっかりだなあ、と思い起こすことしきり。

2016年9月「ゆいまあると3つの磁石」の下のベンチ。大家さんの実家は、201の前からよく見える

もし、大蔵のお部屋を借りなかったら。もし、優がアメリカに行かなかったら、もし、・・・。書こうと思ったら、その「もし」は、私が子どもを産まなかったら、とか、父と母が出会わなかったら、とか、果ては地球のはじまりまで、どこまでもどこまでも続いていくことがわかって、とても考えていられない!

ゆいまあるゴハン 2016年9月15日『調味料が揃ってないので、シンプルだけど、有難豚の雄豚ももしゃぶ炒め、おじちゃんちのナスピーマン、おじちゃんちの白ゴーヤ甘酢和え。畑のナミさんに「白ゴーヤは生で薄切りして塩もみしたあと、甘酢和えに」の言葉通りにしたら、これ美味しい。
しかし、有難豚はほんと炒めてただ塩かけて(コショウ忘れた)ほんとに美味しい。』フェイスブックのキャプションより

大家さんはよく「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という言葉を引用して学生さんとお話しをしたりしていますが。「自分が変わったら世界が変わった」と、遠いアメリカに住んでいた娘の口から聞いたのは2年くらい前だったでしょうか。

2019年3月ごろ、ゆいまあると3つの磁石のドアの前から、大家さんの実家を臨む。もくれんの向こうの2階建てのおうち。現在は、新しい大きな道路が庭を横切っている。

いつも同じことを繰り返し書くように思いますが、毎年毎週毎日毎回同じことをしているようで、同じということは絶対にありません。子育てをしていて子どもたちに振り回されているときは「いつまでこれが続くんだろう」と思うことがよくありました。でも半年前のことを思い出すと、子どもたちは必ず変わっていて、悩みは新しい悩みに変わっているのです。今は、もう、「いつまで続くんだろう」なんて思い悩むことはありませんが、今度は1年前の自分が書いた「どうぞのごはん♯29 続・8月がくるたびに~ケイハン@松本記念音楽迎賓館~」を読み直したら、書いた内容を全く忘れていてビックリ!

同じようでいて、絶対に同じ日はこない。だから、ゆっくりでいいから、ていねいに大切に大切にしたいと思う。

今年はナスがたくさん採れたのでナスのみそ炒めをたくさん作りました。子どものころから、母が作ってくれていた大好きなメニュー。これに入ったピーマンだけは食べられました。子どもたちも大好きで、毎回毎回おいしいおいしい、「無限ナス!」といいながら食べてくれます。(でもたぶん、毎回違う味だと思うけど。)

◆ナスみそ炒め作り方◆

▶ナスのアクは油で炒めると美味しくなるので、油を吸い込みやすいように、縦半分に切った後、斜めに切り込みを3個くらい入れながら切ります。

▶たっぷり目の油で炒めます。ピーマンを入れる時は、細切りにしたピーマンを一緒に炒めます。お肉を入れる時は、ナスが油を吸ってから入れたほうがよいかも。めんどくさくなければ、ナスをあげるように炒めた後、一度取り出し、お肉を炒めて一緒にします。

▶よく火が通ったら、お酒をいれます。お醤油、お味噌を加えます。みりんを加えて、味見をし、甘味が足りなければ、お砂糖をいれます。

※自分の好きな味で作ってね。最後に豆板醤を入れてもおいしいです。

なすみそ炒め
実家で母の夕飯用に作ったものは、ひき肉をいれて、片栗粉でとろみをつけました。片栗粉は、同量のお水で溶かしたものを、いったん火をとめて回し入れ、もう一度とろっとするまで過熱します。

「ゆいまあると3つの磁石」を更新した9月、3年間同居していたミキが一人暮らしを始めました。仕事があるたびに大蔵に間借りしていた青年大ちゃんも、喜多見に家を借りることが決まり、また、少しづつ違う毎日が続きます。

オマケ:我が家のベランダコンポストちゃんでできた土に植えた白菜。週末の郡上バスツアーに一緒に連れていくつもり

 

名称
ゆいまあると3つの磁石
所在地
世田谷区大蔵5-14-6-201

この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で「子どものアトリエ」を始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」という場を開設、「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開。2021年、岡本から玉川4丁目の空き家(通称たまよん)に1年間入居。2023年、「ゆいまあると3つの磁石」近くに建った家に転居、「あめます舎」と名付けて家開きしている。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク所属。