3月21日(春分の日)、マザークエスト主催にて開催された、これからの子育てと教育を考える映画「Most Likely To Succeed」上映会のイベントレポート第三弾。Part①は映画上映の様子を、Part②では“未来志向で考える成功”について語り合うディスカッションの模様をお伝えしてきましたが、いよいよ最終回Part③は全テーブルによるプレゼンテーションの様子をお伝えします😊
Step 3 未来思考での対話
最後のお題は、「成功への力を育むためにどうする?」 となると、まず「何をすべきか?」という思考が働きそう。ですがバックキャスティング(未来)思考で振り返るこの場では、今すぐ「何をやめるべきか」から思考します。その後「何をはじめるべきか」を学校と家庭に分けて各自で考えます。どうしても「はじめたいこと」から話しがちだった人たちも、成すべき教育革新に向けて考えると「やめるべきこと」に発想を飛ばす意味深さに気づいていきます。休憩後のワークということもあってかテーブル内での会話はさらに弾み、一人ひとりが考えるというよりは、対話を重ねながら思考を深めている様子がうかがえました。
成果発表!
いよいよ、各テーブル代表者によるプレゼンテーションの時間。それぞれのディスカッションの内容を説得力のある理由を添えて発表してくださいました。いくつか項目のみ列挙してみましょう。
やめるべきこと
「無意味な校則や制服(判断力が伸びなくなる)」、「失敗や間違いをあざ笑ったりする環境」、「習い事のハシゴ」、「人の意見の付け足しでつなげる発言(同調圧力を強めるから)」、「学力評価」、「一斉指導」、「先回りしてやりすぎること」、「努力を妨げるような発言」、「価値観のおしつけ」、「教えること(引き出してあげることに注力すべき)」、「入学式や卒業式の長すぎる話(子ども主体の児童会のようなものにするとか)」、「いじめアンケート(意図がわからないから)」、「厳しい食事の躾け」、「親の介入(失敗しないと学べないから)」、「暗記の教育」、「クラスや学年、縦割りの決まったカリキュラム」……
はじめるべきこと
「さまざまな体験をさせる(チャンスを増やす)」、「挑戦する環境づくり(専門家につなげ、突破させていく)」、「話しやすい環境づくり」、「自分のオプションを増やせる環境」、「待つ」、「愛すること(自己肯定感を持たせられるように)」、「教員の多様化(教員の役割や作業を細分化させる)」、「親が幸せであること(子どもにも幸せがにじみ出るから)」、「子どもの家事手伝い(一緒にごはんをつくるなど)」、「目標の発見や判断につながる、いろんなフィールドでの経験をさせてほしい」、「本当に手助けが必要なときに助ける」、「子どもたちのワクワクへのサポート体制」、「好きなものを学べて、たりないと感じた時に後で補充できる教育システム」、「学校は待つ、認める、承認する!」「家庭は、できていることのみを見る!」……
アッという間の3時間
最後のプレゼンテーションは中学生の男子。「何をやっても、何をはじめても、幸せかどうかを決めるのは自分だから、何もやらなくていいと思う!」という発言に、会場中が拍手喝采👏
3時間におよぶ濃密な学びの会は、脳みそグルグル状態を後味にアッと言う間に終了しました(^^♪
中曽根代表より、後日コメント
マザークエスト では、「子育て=よりよい未来を作る人材育成のプロジェクト」というメッセージを掲げ、子育てという価値ある仕事をしている親(特にお母さん)を応援したい!という思いで、これまで20回以上のさまざまな学びの機会を作ってきました。今回は、これまででもっとも多様な方々にご参加いただけたことが一番の驚きであり、喜びでした。特に、小中高校生が大人に混じって同じ問いについて、真剣に考え、自分の意見を話し、大人の意見にも耳を傾けている姿が印象的でした。逆に大人は、子どもの意見に目からウロコでしたね。その意見を聞いて、子どもを育てるというより、子どもがもともと持っている力を伸ばす手伝いをすることが大人の役割だということに気づいたような気がします。記事にも書いていただいたように、今回は映画をみて「2030年に生きる子供たちにとって成功とはなにか」、「そのために学校や家庭でやめること、はじめること」という問いを立てて、みんなで探究をしましたが、今の教育への疑問や、これからの教育や子育てへの関心がこれまで以上に高まっていることを実感しました。やはり、変化が加速しているからでしょう。
私は、「よい社会をつくるにはよい子ども時代が必要」だと思っていて、偏差値型教育からの脱却を願ってずっと発信をしてきましたが、未来を作っていく子どもたちがよい子ども時代を過ごすために、私たちはなにをすればいいのか、マザークエスト の思いに共感してくださる人たちとともに探究する場をつくっていきたいと思います。
◆取材を終えて◆
同じテーブルに1歳5か月の男の子を連れた女性がいました。映画の感想でも紹介した加奈子さんです。私は、お子さんの未来を真剣に描きながら、母親として懸命に生きる彼女の姿に共感し、休憩時間に少しお話を聞きました。
加奈子さん:この映画のことが前から気になっていてチャンスを狙っていたんです。1歳の息子を連れていっていいですかと問い合わせたら快くOKしてくださいました。私は未婚のシングルマザーなので、連れてくるしかないので。去年も私のスウェーデン出張に8カ月の彼を連れていきました。スウェーデンですら子どもと一緒?と驚かれました。両親は田舎にいるので東京で、一人で育てています。でも一人ではできないことも沢山あって、みんなにこうして助けてもらっているんです。
彼女のような母親が幸せでいられる未来を、みんなでつくっていけるといいなと思いました。
未来志向で考える「成功」とは、社会的地位でも年収でもなく、学び続けながら「自己肯定感を持てる自分である」ことなのかもしれません。そんなことを考えさせていただいた学び豊かな取材でもありました😊
【関連記事】 「Most Likely To Succeed」①これからの子育てと教育を考える映画上映会:参加レポート http://futakoloco.com/10480/ 「Most Likely To Succeed」②これからの子育てと教育を考える映画上映会:参加レポート http://futakoloco.com/10418/
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