【レポート】五島美術館の「近代の日本画展」

 日本画というと江戸時代に葛飾北斎が描いた『富士三六景』や歌川広重の『東海道五三次』などで有名な”浮世絵”や、さらに時代をさかのぼると狩野永徳の『唐獅子図屏風』などといったものが思い当たるが、今回五島美術館で開催している「近代の日本画展」で見られる作品は一味違う。
 
 展示してある日本画はすべて近代以降(明治時代以降)に絵描かれた作品となっており、これらは黒船来航から半世紀たった当時の日本文化が西洋文化との融合を試みが表現されている。例えば本展覧会第一展示室右側の仏教絵画は観音様や達磨などの、いわゆる本来は信仰対象とする超自然的象徴が、平安・室町時代の物に比べより写実的に描かれている。顔は丸ぼったさをなくしより正確な輪郭を保つようになり、体は誇張したものからより正確な肉付きになっている。展示品である木村武山筆の『不動明王』と展示室1の入口にある『愛染明王坐像』を見比べれば、これらは違う明王だとしてもその表現方法の違いをはっきり感じられる.
 一方これらの絵の中にも日本特有の雰囲気はいまだ健在している。なにより顕著なのが作品としての空間構造である。額縁に収められ余白の少ない西洋画と比べ、作品内に余白が十分に取り残されていたり、そもそも非構造的に人物と自然が描かれているものもある。寺崎広業筆の『夏のひととき』は比較的西洋的な様式を感じられるが、それと比較したその他の作品は遠目から見てもその余白の多さから一目で「日本風の画だ」と認識できる。
 
 本展覧会はこれまでの「日本画」とは一風異なる作品が多く出展され、非常に見ごたえのあるものになっている。
 

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〈イベント詳細〉

展覧会「近代の日本画展」
期間:2019年5月11日(土)~6月16日(日)
開場時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日
アクセス:東急・大井町線(各駅停車)「上野毛(かみのげ)駅」下車徒歩5分
入館料:一般1200円/高・大学生900円/中学生以下無料

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今までのポスターに比べシンプル

名称
五島美術館
所在地
東京都世田谷区上野毛三丁目9番25号

この記事を書いた人

いちさん

いちさん

東京都市大学4年.コンピュータ触って生きてます.研究の休憩とか,大学院に行く準備をさぼるためとか,いろんな口実をつけて美術館に逃げる日々です.