「公共空間はみんなでつくる。感謝の気持ちを循環させよう!」 二子玉川公園ピカピカ隊、今夏も大奮闘中 

多摩川河川敷に隣接し、いつもたくさんの利用者でにぎわう二子玉川エリアの人気スポットのひとつ「世田谷区立二子玉川公園」。「主に徒歩圏域に居住する人の利用に供する」ことを目的とした「地区公園」として位置づけられており、「区民参加型」の運営管理方針のもと、地域住民が「公園サポーター」としてそれぞれの活動テーマで活動しています。

住民発意で始まった子ども中心の美化活動「ピカピカ大作戦」

 2013年4月の開園から10年目を迎え、高校生以上を対象とするサポーター登録も増え、2020年にはこの4つのグループの活動以外にも、ちょっとしたお手伝い感覚で誰でも気軽に参加できる「ピカピカ大作戦」が生まれています。

 この「ピカピカ大作戦」は、住民発意で始まりました。毎朝、夜間に大量に放置されたゴミを抱えて巡回する公園スタッフを見かねて、地域の方が自主的に同行するようになったそうです。次第に子ども連れの参加者が増え、夏休み中には子どもたちが中心となって毎週水曜・土曜・日曜日朝8時30分から約1時間、園内の巡回を兼ねた美化活動となっています。

 「ピカピカ大作戦」は、ただのゴミ拾い活動ではありません。自然環境の専門知識を有する公園スタッフが、参加してくれた子どもたちと一緒に歩きながら、園内の虫や植物などの最新ニュースを伝えつつ、自然観察を楽しむ時間になっています。初めての参加者には活動趣旨を紙芝居で伝え、ゴミの収集量をグラフで可視化したり、隊員が着用する黄色いバンダナに参加スタンプを施したり。参加者やサポーターのアイデアを取り入れながら、続けてきました。

悩みの種は「夜」と「夏」に大量廃棄されるゴミ

 今年は、7月末に有志による花火大会が開催され、久しぶりに多摩川の夜空に広がる大きな花火を目にして、多くの人が心に希望を灯すことができました。Futakolocoでは、人々の自律的な行動により特に大きな混乱や迷惑行為は見られなかった、と速報レポートを紹介しました。

 しかし、翌朝のピカピカ大作戦の参加者(小学生6人と保護者)が目にしたのは、見物客が残したと思われる大量のゴミでした。アルコール類が中心で、年間の平均収集量3kg/回に対しこの日は7.6kgにもなっていたそうです。

 以前から夏が近づくにつれ、夜間の大量のゴミ廃棄に悩まされてきたピカピカ隊。これまでさまざまなイラストによる貼り紙や看板で注意喚起を工夫してきた子どもたち、前の日の夜にみんなで楽しく花火を観覧したその場所へ、植え込みなどにも投棄された山積みのゴミを目の当たりにした衝撃は、大きかったようです。

 実は、二子玉川公園にはゴミ箱の設置がありません。利用案内にもある通り、「各自持ち帰り」をお願いしています。また、「世田谷たばこルール」に基づき世田谷区内全域の道路・公園同様、たばこ喫煙は禁止となっています。

 ただし、通常は禁止されている火気使用ですが、同公園においては花火に関しては「子どもの夏の風物詩体験」や「子どもの夏の思い出づくり」に限り、こども広場(砂利の広場)でのみ、夜9時まで、など一定のルールのもと、利用が可能になっています。

 こういった利用ルール(二子玉川公園ビジターセンター公式サイト)を理解せぬまま、園内2か所へ設置されている自動販売機(アルコール類は無)専用ゴミ箱周辺へ置いていくケースが多発しているそうです。

花火大会翌朝のゴミ箱の様子(画像提供: 二子玉川公園ビジターセンター)

 「公園をきれいにする活動の目的は、公園を利用する人間だけではなく、公園に生息する生きものや植物などの自然を守ることも含まれています」と、スタッフの小高英之さん。「二子玉川公園は、多摩川の水辺と国分寺崖線の緑に挟まれた、自然が豊かな公園。この自然を利用者の方々の協力をいただきながら一緒に守り、お手入れすることで、地域の皆にとっての大切な場所にしていきたいです」と話します。

公共空間はみんなでつくるもの。感謝の気持ちを循環するには?

 公園を含む「公共空間」は、管理者だけでつくる場所ではありません。利用者自身が、皆が気持ちよく使えるためのマナーやルールを守り合うことで、地域の大切な憩いの場として存在していくことができます。

 マナーの悪い状況が続く場合には、さまざまな利用制限や禁止項目が設定されてしまう可能性があります。地域への思いで打ち上げられた花火を堪能した私たちが、感謝の気持ちを循環していくためには何をしたらよいでしょうか。

 まずは、自分が使った場所を振り返り、きれいにして立ち去ること。この場所をいつもきれいに清掃してくれている人がいるから、楽しい時間を過ごせたことにも思いを馳せて、自発的で自律的な使い方を周囲の人へも呼びかけること。そういうことから始めてみるのはどうでしょう?

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名称
世田谷区立二子玉川公園
所在地
東京都世田谷区玉川1-16-1

この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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