「二子玉川 たんぽぽツアー2022」開催レポート ~大人編~

 「二子玉川 たんぽぽツアー2022」 親子編 に続き、4月8日(金)に開催したのは大人編。なんと今年は 20代から ??代 までの大人たちが集合。 親子編開催からたった6日間で周辺の自然環境もタンポポ事情もすっかり移ろい、満開だった🌸は終わり、あの日眠っていたタンポポたちが溌剌と元気な姿を魅せてくれました。

 天気予報と睨めっこしつつ設定した日程は大当たり。 晴天の二子玉川駅より、ツアー出発!

朝10時、二子玉川駅にて。さて、みなさんのハートにはどんな期待が詰まってるのでしょう?
ツアーメンバー

 今回初めて「二子玉川まちメディア フタコロコ」に告知を試み、参加メンバーを公募。小林直子(コバナオ)編集長によるFacebook、Twitter、地域コミュニケーションアプリcommonへの転載効果も抜群で10人もの参加メンバーがそろいました。「昨年の開催レポートを読んでいたので今回の告知を待っていた」 「commonを見て参加した」などの嬉しい声も。 助っ人の川辺百合子さんがみなさんに寄り添ってくれたので、安定期に入られた妊婦さんも安心して参加されました。

 今回も素敵なショット(以下の写真)を撮影くださったのは、コバナオ編集長🙌

まずは、ツアー仲間みなさんとの自己紹介から
タンポポにときめいて集まった仲間たち

 参加動機は「タンポポに癒されたい」 「この地域の自然にふれたい」 「いつも歩いている地域の自然に目を向けてみたい」 「お散歩がてらタンポポに詳しくなれれば」などなど。 みなさん “タンポポ” にときめいて集まった仲間。ツアーを機に 繋がって!!  という想いを込めて自己紹介タイムを設けました。

 ツアーのタスクは親子編同様、タンポポの見つかった場所に、種別に色分けシールをマップに落とし込み、自分だけのオリジナルタンポポ地図をつくること(^^♪

大井町線沿いの斜面に毎年ひっそり咲く在来タンポポ。その健気さにみなさんうっとり
親子編でも観察した大井町線沿い斜面の在来タンポポ。たった6日でこんなに開花(+_+)
実物とふれあって観察!贅沢なひととき

 今回のツアーは、素敵なコミュニティ農園に生まれ変わった タマリバタケで、シロバナタンポポに直接ふれて観察することが叶いました😊

 タンポポという植物の特徴、生き方、また東京ではレアなシロバナタンポポは、カントウタンポポや雑種タンポポと、どこが似ていてどこか違うのか? 実物に直接ふれることで、リアルに感じ取ってもらえたのではないでしょうか。

花のつくりはどうなっている? 綿毛はどうやってできるの?
さわってみて初めてわかること
事前にアドバイスいただいた保谷彰彦先生の記事を用いてご説明
シロバナタンポポは、総苞に広がる大きめな角状突起が特徴的
在来タンポポを愛おしく思うのは、なぜ?

 ここ数年タンポポ観察を重ねてきた私ですが、樹木や山野草の観察機会も増えてきました。植物の和名を調べながらも、なぜか気になるのが在来種? 外来種? 問題。 植物好きの仲間たちもこのワードを頻繁に口にします。大きな視点で見ていけば、良し悪しはさまざまです。それでも不思議と私たちは、在来種を求めて探索を進めます。 今回のツアーでも大半の方々が、在来タンポポに優しい視線を注ぎながら観察されていましたね😊

 私たちはなぜ、在来種を大切に守りたいと思うのでしょう?

 生物多様性の科学的な視点に立てば言えることはいくつもあるでしょう。 ですが私たちのその気持ちは、簡単に整理できるものでもなさそうです。 文化的、歴史的、倫理的観点など、さまざまな方向から見つめ、考え、もう少しみなさんの話を聴いてみたくなりました。

 在来種が豊かだと、街、人、地域、地球にとって、どんな良いことがあるのでしょう?

 タンポポ研究者の保谷彰彦先生にも問いかけてみました。科学者の立場からお話しくださり、多様な遺伝子の保全は、科学技術への活用可能性が拡がるなど、少し難しい事例も交えながら、みなさんの想いに直結するメッセージもいただきました。

 「在来タンポポが健在であれば、そこに花粉を運ぶ昆虫が集まり、周辺の作物の実りをよくして野菜のタネもできやすくなるでしょう。在来タンポポは、生態系全体にとっても重要な役割を果たす可能性があるはずです。カントウタンポポやシロバナタンポポを残したいというみなさんの思いは大切にしてほしいです」

路上で熱心に観察するのは人文学分野を研究する大学院生
二子玉川公園下のロープに囲われた広場は、大切な在来タンポポの観察スポット
兵庫島に向かう道。大井町線高架下手前の斜面にも在来タンポポが群生
みなさんそれぞれに、個性豊かなタンポポMapが完成👏👏👏
解散場所は今回も牧水碑

 多摩川の砂にたんぽぽ咲くころはわれにもおもふ人のあれかし

 ツアー後、参加者の方から 「このうたは失恋のうたなのね。背景が気になって 『牧水の恋(俵万智著)』を読んだ」 とのメールが。

 遅ればせながら私も拝読してみると、宮崎県出身の牧水さんが、ある時期に多摩川周辺にこられた経緯。また、春、この地を黄色く彩るタンポポに牧水さんがどんな想いを込めたのか。 その世界観を追体験したような気持ちになりました。

牧水碑にて。みなさま、お疲れ様でした\(^o^)/
4月2日の親子編では見られなかった在来タンポポが牧水碑近くに出現(+_+)
心強かった専門家のアドバイス

 私が初めてタンポポについて専門家に取材したのは2007年。自然科学の一つの分野「タンポポ」の研究も、この15年間で大幅に進みました。今回、タンポポ研究の第一人者の保谷彰彦先生に、今現在の最先端の知見を伺いましたが、もちろん、まだまだ解明されていないことも多く、今後研究は更に進んでいくことでしょう。

 これからも、私自身は観察を重ねますが、一方で専門家の研究成果も追い続けたいと思います。更にサイエンスコミュニケーターとして、自然科学や科学教育、市民科学の知見に留まらず、タンポポ観察を通して見えてくること、例えば、環境、人間、倫理、街や場づくりなど。多様な視点(知見)を追いかけながら、みなさんと学び合いたいと思っています😊

二子玉川からタンポポの輪を!

 ツアー終了後、二子玉川ライズルーフガーデンにて、参加くださった仲間たちとランチを愉しみました。お話を聴いていて、それぞれがそれぞれの楽しみ方をされていたことが伝わってきて嬉しいひと時でした。タンポポ観察を通して地域と繋がりたいという期待を抱き参加された方もいらしたので、せっかくタンポポで繋がった輪を継続する術はないかと思案中です。

 また、二子玉川以外のタンポポ事情も、東京では三鷹周辺、さらには群馬県、神奈川県、千葉県、新潟県、秋田県から写真や情報が続々と届いています。フランス(ナント在住)の知人からはセイヨウタンポポのジャムづくり写真が届きました😊

モン・サン・ミシェルから少し南の農場にて  by 佳与さん 2022.4.17

 二子玉川と各地のみなさんを繋いだオンライン対話会なども楽しそう。 興味があれば、ぜひご参加くださいね(^_-)✨

◆「たんぽぽ工房 保谷彰彦先生のウェブサイト」はこちら 参考図書も掲載されています。

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この記事を書いた人

牟田由喜子

瀬田に移り住んで20年余り。二子玉川地域の魅力をしみじみ味わう今日この頃です。

早春には、多摩川河川敷や兵庫島の牧水たんぽぽ碑付近、タマリバタケ、玉川野毛町公園などでタンポポ・ツアーを実施したり、自然観察することで、みんなで社会や環境課題に向き合いたいと思っています。

人も自然も未来に続く日常のために、地域を愛でつつ、学び合い、対話を重ねる時間を大切にしたいという想いを込めて、サイエンス・ワークショップなども実施しています(^^♪