【世田谷美術館レポート by Pon】 横尾忠則「連画の河」展

驚異的な創造力で私たちを魅了し続けているアーティストの横尾忠則さん。最新の絵に触れる「連画の河」展が、4月26日から世田谷美術館でスタートしました。ウェブメディアFutakoloco(フタコロコ)のローカル記者として報道内覧会に行ってまいりました。私にとって雲の上の存在である横尾忠則さんのパッションには、これまでも圧倒されてきましたが、このたびも「驚き」を得ました。いくつかをお伝えできればと思います。

報道内覧会には横尾さんご本人もお越しくださり、作品や企画展についてのお話に加え、報道関係者からの質問にもお応えくださいました。私もこの機会に、初めて横尾さんに直接お目にかかることができ、印象深いひとときとなりました。

「連歌」ならぬ「連画」

制作が始まったのは、2023年の春からだそうです。遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った1枚の記念写真(篠山紀信さん撮影)を起点に64点の新作=「連画」が展示されています。1作品目からインスピレーションを得て次の2作品目に連ねる。「連歌」ならぬ「連画」といったスタイル。制作年月順に作品が配置されていて、横尾さんのイマジネーションの展開が10に区切られた部屋ごとに体感できるようになっていました。

スケッチブックに興味シンシン何回も見比べる

遊び心があふれたスケッチブックも展示されていて、完成した作品と交互に何回も見比べると、横尾さんの制作のイメージを膨らませてゆく過程を垣間みられたようで、ファンとしては嬉しかったです。作品の元になるスケッチを見られる機会はとっても貴重です。

河の流れのような流動的なところが面白い

昨日の自分と今日の自分は違う。常に流動的に変化しつづける自分。「連画の河」という形の意味が作品を見ていくうちに感じ取れていました。横尾さんいわく、「全体でひとつの作品」とのこと。

揺れる線を生かす思考

手の痛みがあって描かれる揺れる線。ハンディがあってもそれすら逆手にとって作品を作る横尾忠則さん。目から鱗でした。線の表情、変幻自在なフォルム。88歳を迎えてもなおエネルギーに満ちた作品たちに大きな勇気を受け取って帰りました。

ゴールデンウィークが始まります。日常から少し離れて、砧公園の自然に癒されながら、横尾忠則さんの「連画の河」が織りなす、刺激的で奥ふかい世界に身を委ねてみませんか? きっと、昨日の自分とは違う出会いが待っているはずです。

若緑の砧公園(4月25日)

展覧会概要

展覧会名:横尾忠則 連画の河
会期:2025年4月26日(土)〜6月22日(日)
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
時間:午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
休館日:毎週月曜日 ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館。5月7日(水)は休館
観覧料:一般1,400(1,200)円、65歳以上1,200(1,000)円、大高生800(600)円、中小生500(300)円、未就学児は無料
※( )内は20名以上の団体料金。事前に電話でお問い合わせください。
※障害者の方は500円。ただし小中高大専門学校生の障害者の方は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料。
※高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種手帳をお持ちの方は、証明できるものをご提示ください。

【世田谷美術館|公式サイト 展覧会詳細ページ】
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00223

100円ワークショップ「連画のアイデアブックづくり」: 毎週土曜日開催。

講演会「横尾忠則、連画の魅力」: 4月29日(火・祝)15:00~。

ピアノコンサート「Yokoo×Mishima×Glass」: 5月3日(土)15:00~。

美術館の入り口で、偶然見つけた言葉について
世田谷美術館の入り口にある石碑の裏に「芸術は自然と一体になり健康に導く」という言葉が刻まれていました。砧公園の豊かな自然の中でこの言葉を目にすると、横尾さんの作品が持つ生命力や、私たちに与えてくれる活力が、この場所の空気と深く共鳴しているように感じられました。

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名称
世田谷美術館
所在地
東京都世田谷区砧公園1-2

この記事を書いた人

本城晴美

イラストレーター/デザイナー/ハンドメイド作家/NPO法人せたがや水辺デザインネットワークスタッフ/ポンこと本城晴美。富山県生まれ。セツモードセミナーで絵を学ぶ。キャッチ&エラーで好きなことをとことん派。多摩川の自然と子ども絵を描くことが好き。みんなでモノづくりを楽しみたい。