【二子玉川 水辺まちづくりレポート】2025年多摩川旧堤防・玉川および久地陸閘(りっこう)閉鎖訓練

かわのまち・二子玉川では、梅雨・台風期を前に、毎年堤防機能の点検と発災時の備えとして「陸閘(りっこう)」の閉鎖訓練が行われています。地域の安全を守る日常の防災活動を、今年も現地で取材しました。貴重な作業の過程をタイムラプス動画でご覧ください。

玉川陸閘(東・西)|商業施設近く、歩行者の往来も多い地点での訓練

2025年5月28日、初夏を思わせる強い日差しの空の下、玉川1丁目にある多摩川旧堤防「玉川東陸閘・西陸閘」にて、恒例の閉鎖訓練が実施されました。

この訓練は毎年、出水期(6月~10月)を前に、堤防としての機能や設備の状態を確認し、有事への備えを確実にすることを目的に行われています。大正時代から地域の交通要所として親しまれてきた玉川陸閘は、現在も河川敷と住宅地・商業地をつなぐ重要な導線のひとつです。

今年の訓練は、世田谷区土木部交通安全自転車課・佐久間浩康課長の号令のもと、玉川土木管理事務所・高村國夫所長以下職員が参加し、手際よく安全に実施されました。昨年と比較し体制はコンパクトでしたが、日頃の道路管理業務の経験が反映された動きでした。

  • 東陸閘閉鎖作業時間
    • 閉鎖:21分18秒(昨年 24分27秒)
    • 開放:13分17秒(昨年 23分15秒)
  • 西陸閘閉鎖作業時間
    • 閉鎖:4分13秒(昨年 10分53秒)
    • 開放:4分00秒(昨年 15分19秒)

昨年度は角落し基礎部の掘削を伴いましたが、今年度はそれを省いたため、時間短縮が見られました。訓練は東陸閘から西陸閘へと順次行われ、警察による交通誘導も併せて実施されました。

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久地陸閘|車両通行が多い地点での、迅速な閉鎖訓練

翌5月29日には、鎌田1丁目にある「久地陸閘」での閉鎖訓練が実施されました。こちらは砧土木管理事務所が所管し、昨年に続き2回目の取材となります。

訓練は13時25分から13時40分ごろまで、世田谷区土木部および委託事業者スタッフら計12名で行われ、成城警察署からも視察がありました。現場を指揮したのは、砧土木管理事務所の高須光郎所長です。

久地陸閘は、玉川の陸閘と比べてコンパクトな構造(高さ150cm、12cm厚の木材16枚を積み上げ)で、閉鎖・開放ともに非常にスムーズに行われました。閉鎖作業時間は以下の通りでした。

  • 閉鎖:3分25秒
  • 開放:3分06秒

住宅が堤外にないため、訓練中の交通誘導や近隣通知の必要がなく、迅速な実施が可能となっています。

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陸閘訓練の意義と今後の視点

玉川東西陸閘と久地陸閘、それぞれ構造や立地には違いがあります。

  • 玉川陸閘は、商業施設や住宅地に近く、歩行者の利用が多い導線上にあります。
  • 久地陸閘は、駐車場出入口に近接し、車両通行の影響を考慮した訓練設計が求められます。

年に一度ではありますが、こうして閉鎖訓練を取材し地域へご紹介する意義は、「かわのまち」に暮らす私たちの防災意識を日常の中で育むこと。土木従事者の皆さんが日々積み重ねる備えが、地域の安全に確実につながっていることを、あらためて実感する機会となりました。

この記録が、地域アーカイブとして残り、次代の防災と暮らしづくりに生かされることを願います。

二子玉川 水辺まちづくりレポートシリーズ記事

名称
玉川陸閘(りっこう)
所在地
世田谷区玉川1-8付近

この記事を書いた人

チームうならぼ

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー。 自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信していきます。