【生きることはアートだ!10】 2020年度 多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科 第四期生 卒業制作 【□□□・ミーツ・□□□(ナニカ・ミーツ・ナニカ)】演劇公演と体験展示

青い空が広がる新年。2021年、どんな年になるのでしょう。

 全くわかりませんが、私は、先週の日曜日に、学生さんたちに「大丈夫」をもらってきました。

1週間前の2020年最後の日曜日に、池袋の東京芸術劇場に行ってきました。上野毛にある多摩美術大学演劇舞踏デザイン学科第四期生の卒業制作である演劇公演を観に行くためです。そういえば、毎年、大盛り上がりだった「タマリバーズ」も2020年はなかったんだな。

futakolocoのタマリバーズの記事はこちらから

いや、この「東京芸術劇場」で公演するのか、すごいな多摩美。とまずビックリ。

1990年、バブルの後半期に建てられた「東京芸術劇場」。野田秀樹氏が芸術監督。野田秀樹氏は、私にとっては学生演劇集団「夢の遊眠社」の人だけど、現在、多摩美術大学の教授だそう。

実は、案内をいただいた時に、「いったいどんな作品なのか?」全くわからなかったので、とにかく行ってみようという気持ちで、まずは、展示コーナーへ。

展示会場では、まず感染対策なのですが、出迎えてくれた学生さんがステキすぎて、とりあえずパチリさせてもらいました。

公演を観終わった後には興奮していたのと、展示会場に入りたい方で長蛇の列になっていたので、先に展示を観たのは大成功でした。

体験は、写真を撮ってもらう、お手紙を書く、紙をちぎる、の3つで、係の学生さんが丁寧に説明してくれました(ちょっと緊張されている様子)
このどちらかに入って写真をとってもらいます(写真提供:多摩美術大学)

写真は、持ち帰ってカードに手紙を書いて投函するか、会場に飾って誰かのカードに返信するかを選べます。

私が撮ってもらった写真。お手紙は書いて投函してきました。誰かにミーツできたのかな?
展示会場は撮影可でした。

そうこうしているうちに、開演時間となり慌てて会場へ。会場内は、隣との距離をとってゆったりと観劇。

ホワイエ(ロビー)は撮影不可でしたが、こちらには、衣装デザインや、大道具模型なども展示されていました。劇場全体は、ゆったりとしたつくりで、コロナ禍の演劇上演にはとてもいい環境だと感じました。(写真提供:多摩美術大学)

 思えば、新型コロナウィルスの感染拡大防止のためということで無名塾仲代達也さんの「ペテン師タルチュフ」の東京池袋サンシャイン劇場での公演が中止になったのが昨年3月のこと。(12日に観に行くはずでした…。)それ以来、アート、演劇界は混迷が続き、私が昨年観た舞台(ライブ)は、瀬田四丁目旧小坂緑地で行われた野外劇「白い病気」(このことは、次回のコラムで)と、この「□□□ミーツ□□□」の2本。

ホワイエに飾られた舞台の模型。これが大道具として舞台上に造られる。模型だけでも立派な作品(写真提供:多摩美術大学)

舞台はひとことで言えば「熱」

学生さんたちの熱が、熱く熱く伝わってくる舞台でした。

「月の墜落反対!」「どうして帰ってこないのよ~!」どうにもならない現状に向かって、それぞれの主張を叫ぶ登場人物には俳優の熱がこもっている(写真提供:多摩美術大学)
舞台は、二層になっていて、時に上段が「月」となります。(写真提供:多摩美術大学)

2020年、「どうしてこんなことが」ということが次々に起こり、それでもまだ、毎日、朝がくると目を覚まし、なんとかその時にできることをやってきた私。

ラストシーン。たぶん、みんなの想いを観客に投げ切れたのではないか。

 観終わって帰る時に、だれにも声をかけられないくらい心を揺さぶられていました。「ああ、観に来てよかったな~」と思ったのだけど、そのことを誰にも伝えずにきてしまいました。ですのでこの場を借りてお伝えします。

「とってもよかった。この作品に出会わせてくれて、ありがとう!」

私が中学のころ(40年以上前)から今まで、変わらないのか暴走族・・。衣装もファッションショーさながら。

 脚本や、演出、舞台装置、衣装、俳優たちの演技、照明、どれをとっても素晴らしかった。どうやってこの作品が作られたのか知りたくて、もらったパンフレットもすみずみまで読みました。パンフレットには、この舞台が作り上げられるまでの苦悩の過程も書かれています。(パンフの編集制作も学生さん)

オンラインでパンフレットがご覧になれます。

「□□□ミーツ□□□」デジタルパンフレット

 私は、若い時に大学で演劇(演技や、演出、舞台芸術や、照明技術、果ては広報やなんか)を「学ぶ」なんて道があるということを考えもつかなかったけれど、こういう4年間を過ごせる若者たちを羨ましくも思い、それを支える教員、講師のみなさんも素晴らしいお仕事されてるなあ、と感じました。そして、願わくは、全ての子どもたちが望めばそういうことが学べるような社会になってほしい。

 演劇、舞台は、文学、音楽、造形、絵画、演技、などなど、あらゆる表現の要素が詰まっています。そして、多くの人が一つのコンセプトを理解し協力しないと伝わるものにならない。それは、人としてこの社会で「生きる」ことのほとんど全てがつまっているんじゃないかと思うくらい。今回の舞台からは、学生さんたちみんなの想いが、熱く伝わってきました。

 そして、この舞台を作り上げた学生さんたちが、私たちのまちで活躍してくれるのかと思い、私は「大丈夫」をもらった気持ちになったのです。

展示室の最後のボード

ゴハンがなければ死んじゃうけど、それと同じくらいアートは大切だと思う。

演劇や、文学や、造形や絵画は、私たちが生きるためには欠かせないものというか、「生きる」こと自体、アートそのもの。自然とアートがあってこその、人とまち。

演劇は、ライブが一番と思いますが、今回の公演については、映像配信にも力をいれているそうです。アーカイブ配信が観られるチケットが購入できます(2000円)ので、熱を感じて「大丈夫」をもらいたい方、ご覧になってはいかがでしょうか

アーカイブ配信チケット購入サイトはこちら

みなさんに会えてよかったです。そして、実は、もう一人、この作品の監修にあたった柴幸男さん、実際にお会いすることはできませんでしたが、この作品に出会ったことで主宰されている劇団「ままごと」のサイトなどにミーツしました。

有名な演劇人。私は、1990年代から2011年ごろまでは子育て一筋?でしたので恥ずかしながら全然存じ上げず。サイトで脚本などを読み、作品を観に行きたくなってしまいました。

2021年、何に、誰に、出会えるかな。

生きることはアートだ!

名称
東京芸術劇場 シアターウエスト アトリエウエスト
所在地
東京都豊島区西池袋1-8-1

この記事を書いた人

ゆか

サラリーマン時代に東急ハンズ玉川店、玉川高島屋を担当し、ここいら辺が気に入って移住。岡本の坂下に住み、母となり産んだ子どもたちはもうオトナ。2005年から鎌田で「子どものアトリエ」を始め、2016年に大蔵5丁目「ゆいまあると3つの磁石」という場を開設、「子どものアトリエ」「映画とキャラメル」など、よくわからないことを展開。2021年、岡本から玉川4丁目の空き家(通称たまよん)に1年間入居。2023年、「ゆいまあると3つの磁石」近くに建った家に転居、「あめます舎」と名付けて家開きしている。NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク所属。