【7月29日(土)】多摩川河川敷で花火師有志による「点火祭」 鑑賞時には各自でマナーを守ろう!

二子玉川駅下流の多摩川河川敷で7月29日19時から20時30分、花火師の有志による「点火祭」が4年ぶりに開催されます。なお、雨天および強風の場合は中止です。

 「点火祭」は2006年から始まり、花火の打ち上げを生業としていない「臨時花火師」らが集い、「ここにしかない花火の演出」「自分たちが伝えたい思いを花火で表現」すること、などを目的に有志が資金を持ち寄って続けられてきました。

 これまで「川崎市高津区民祭」の前夜に行われるのが恒例となっていましたが、2019年以降同区民祭は新型コロナウイルス感染症の影響により中止となっていました。しかし、点火祭は「花火の鑑賞と、花火という日本古来の伝統芸能の継承」を目的のひとつに掲げ、実施の意義について「多様な実技訓練による、打ち上げ現場での対応力の強化」「消費技術の維持・向上及び、演出の研究開発」を掲げていたこと、に加えて、「近隣住民の皆さんが少しでも上を向ける希望を届けたい」という思いから、2020年から2022年までの3回、「多摩川希望の花火」と銘打ち、この花火打ち上げは継続されました。

 開催規模を縮小・感染予防のため自宅からの観覧を推奨し、打ち上げ場所の公表もしないという対策のもと、多摩川河川敷の風物詩を守り続けてきました。昨年の開催の際には、夏の夜の水辺で涼んでいた人々にとっては「うれしいサプライズ」となり、「地域の住民にとってはありがたいイベント。毎年継続的にやられていて頭が下がります」という声のほか、「久しぶりの火薬の匂いに夏を感じた」「花火に関わる文化や技術の伝承は非常に大切であると思う」といった歓迎や感謝の反響が寄せられました。

2022年「希望の花火」の記事

 同点火祭を主催する「花火企画夜光(やこう)屋」の谷古宇正啓(やこうまさひろ)代表は、4年ぶりの再開となる今回、「臨時花火師の本業はさまざまだが、皆、花火が大好きな有志の集まり。自分たちならではの表現や、ここでしか見られない演出を地域の方々にみていただきたい、という気持ちで続けてきた」と話します。点火祭には大学の花火部なども含め約50人の有志が参加し、それぞれの「思い」を順番に表現する「花火の発表会(実技訓練大会)」の機会でもあるそうです。

「花火の鑑賞のあり方」も伝統芸能の継承:ゴミの大量放棄問題

 点火祭では毎年、主催者を中心に実施後の周辺の清掃を行っています。futakolocoの取材では、昨年7月末に行われた「希望の花火」という「サプライズイベント」であっても、人々の自律的な行動により特に大きな混乱や迷惑行為は聞かれませんでした。

 しかし、実施後の翌朝、打ち上げ会場に近い二子玉川公園では、見物客が残したと思われる大量のゴミが散乱していることが発見されていました。同公園はもともと、ゴミ箱の設置が無く、利用案内にもある通り「各自持ち帰り」がルール。また、「世田谷たばこルール」に基づき世田谷区内全域の道路・公園同様、たばこ喫煙は禁止となっている場所です。

 同日は偶然、同公園の子どもボランティアによる美化活動「ピカピカ大作戦」の活動日であったことから、同公園ビジターセンタースタッフと小学生6人と保護者によって清掃が行われました。ゴミはアルコール類が中心で、年間活動の平均収集量3kg/回に対しこの日は7.6kgにもなったそうです。

昨年度の花火打ち上げ後の大量のゴミが散乱している様子を伝える記事

 同公園では、コロナ禍にあっても夏が近づくにつれ、夜間の大量のゴミ廃棄に悩まされています。また、感染拡大予防のための行動制限がなくなり、地域のにぎわいを取り戻し始めた今年、すでに地域で開催された盆踊り大会での大量のゴミの放置や散乱が発生しており、主催者の大きな負担となっています。

地域の大切な景色を続けるために、鑑賞時には各自がマナーを守ろう!

 花火の打ち上げが実施される多摩川の河川敷や周辺の公園は「公共空間」です。そこで起きる楽しいイベントや景色は誰でも参加でき、鑑賞することができます。だからこそ、主催者や敷地管理者だけでお手入れをする場所ではなく、利用者・来場者自身が一緒に「皆が気持ちよく使えるため」にどのようなマナーやルールを守り合うことが必要であるか、を考えて行動する場所でもあります。

 マナーの悪い状況が続く場合には、さまざまな利用制限や禁止項目が設定されてしまう可能性があります。地域への思いで打ち上げられた花火を堪能した私たちが、感謝の気持ちを循環していくためには何をしたらよいでしょうか。

 まずは、自分が使った場所を振り返り、きれいにして立ち去ること。この場所をいつもきれいに清掃してくれている人がいるから、楽しい時間を過ごせたことにも思いを馳せて、自発的で自律的な使い方を周囲の人へも呼びかけること。そういうことから始めてみるのはどうでしょう?

2023年点火祭開催のお知らせ

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この記事を書いた人

こばなお

futakoloco 編集長。玉川町会100年懇話会事務局スタッフ。主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川在住20年。出版社勤務を経てまちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。多摩川流域生まれ&育ち。

暮らしを起点に「ほんとうに創造的な社会とは」を考えるラボラトリー「チームうなラボ」のフェロー。自分たちのまちづくり活動の経験や学びを言語化し、ときにはゲストとの議論と振り返りをまじえて発信・活動しています。

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